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□金色の景色〜第2章〜「ホグワーツ魔法魔術学校」『スリザリンの彼』
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何てことだ。


彼女がグリフィンドールに入ってしまった。


彼女はスリザリンに入るべきであるのに!!!

ありえない、は?彼女がグリフィンドール??そんなわけあるか!!あんな低俗で下品でただ暑苦しいだけの単純バカが集う寮に彼女が??あのボロクズ見た目同様に頭もイカれてるんじゃないか!?

彼女はこの僕が、直々にスリザリンにふさわしいと認めた生徒だぞ!!
そうだ、この僕が入る、気高くて理知的かつ理性的で、有能な選ばれた者しか寮生になることを許されない我がスリザリンに!!!


ドラコの頭はすっかり煮え上がって、胸はこらえきれない怒りでムカムカしていた。


ちくしょう!あのボロクズ、父上に言いつけて八つ裂きにして、二度とあのふざけた口を開けないようにしてやる!!


ドラコが目をギラギラさせて組分け帽子を睨んでいる時、スリザリンのテーブルでちぃを見つめている者がいた。


スラッとした細身の体型だが、痩身というわけではない。
さらさらとした淡い紅茶色の髪に紫水晶のような甘いすみれ色の瞳、スッと通った鼻梁、花びらのようなくちびる、細い首筋、まるでどこかの国の王子のような、優雅な姿の青年だ。

ただ椅子に座っているだけでも、不思議と高貴さを感じさせる。


これだけでは、まるで作り物のような美しさだが、彼の瞳はとても大切なものを見つめているように、深く優しい。こんな目で見つめられたら、大抵の女性は恋に落ちてしまうだろう。


『あぁ〜。やっぱりか。まぁ、ちぃならきっと、グリフィンドールだと思ってたけど・・・ちょっと寂しいなぁ。こっちに来たら、目一杯可愛がってあげようと思ってたのに・・・。とりあえず、寮に帰ったらちぃへの手紙を、リーヴに送ってもらおう。父様たちのほうには、また明日でいいかな』


フワフワした蜂蜜色の髪を、シャンデリアの光に反射させながら、嬉しそうに少し小走りでグリフィンドールのテーブルに向かっていくちぃを見つめる、その青年こそ、ちぃの大好きな兄、ルア兄様ことルアークだ。

常に学年トップの頭脳と、笑顔の絶えない人当たりの良さ、その麗しい容姿もあわせて、彼は非常にもてていた。


『でも、良かった。寂しそうじゃなくて。本来は明るくて、少し茶目っ気もあるような子だけど、ちょっと人見知りで気を使いすぎることもあるから、心配してたんだけど・・・。やっぱり、夏休み中に友達の家に遊びに行ってたのは良かったみたいだな。僕が傍にいたら、ちぃは積極的に友達をつくりにいけないかもしれなかったから・・・』


ルアークは、学期が始まる2週間前に、友人の家に泊まりがけで遊びに行っていた。

家族には、そちらの家から学校に直接向かう、見送りもいらないと告げて・・・。

全ては、愛する妹の学校生活をより良い滑り出しで迎えるためだった。


『最初のコンパートメント選びは凄く重要だ。そこで友達を作っておけば、最初の学校生活の滑り出しが良くなる。もし、僕が一緒にいたら、ちぃの性格上同じコンパートメントに居たがっていただろう。ちぃもホグワーツ生になる以上、兄離れをそろそろ覚えなくちゃね』


心を鬼にして頑張った介があったなと、ルアークはちぃの笑顔に一安心していた。
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