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□金色の景色〜第2章〜「ホグワーツ魔法魔術学校!」 『私たちの学舎』
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「あと5分でホグワーツに到着します。荷物は別に学校に届けますので、車内に置いていって下さい」
コンパートメントに戻って新品のローブに袖を通したちぃは、ハリーとロンが緊張で硬くなっている中で、1人興奮でワクワクしていた。
『とうとう・・・とうとうホグワーツに・・・私が!
父様と母様が出逢った場所、そしてルア兄様が過ごすあの場所に!』
ちぃは蜻蛉に優しく話しかけた。
「先に行っちゃうけど、すぐにまた会えるからいい子にしててね」
蜻蛉はチョコレートのような茶色の瞳でちぃを見つめ、わかったと言うようにホーと鳴いた。
汽車はゆっくりと速度を落とし、完全に停車した。
外に出ると、小さなプラットホームだった。
もう辺りはすっかり暗くなっていて、空は深い紫色をしている。
夜の冷たい空気にちぃが小さく身震いした時、大きな声がプラットホームに響いた。
「イッチ年生!イッチ年生はこっち!」
ちぃが声のした方を見ると、そこには普通の人の二倍はあろうかという大男がどっしりと立っていた。
顔がボウボウの髪と、モジャモジャの髭に隠れてほとんど見えない。
ちぃはとてもビックリして、思わず一歩後ろに下がったが、その髪の間から覗く丸っこい瞳が、まるで幼い子どものようにキラキラ輝いているのに気付いて、安心した。
「やあ、ハリー、元気か?」
どうやら、ハリーの知り合いらしい。
「集まったか?さあ、イッチ年生、ついてこい!」
どっちを向いても真っ暗な中、険しくて狭い小道を降りていく。
『そう言えば、ネビルはヒキガエルを見つけられたのかな・・・?そうだといいんだけど』
「みんな、ホグワーツがまもなく見えるぞ」
狭かった道が急に開け、前方に大きな黒い湖が現れた。
その向こう岸には、いくつもの高い山がそびえ、その上には大小さまざまな尖塔が立ち並ぶ壮大な城が建っていた。
「4人ずつボートに乗って!」
岸辺につながれた小船を指差され、ちぃはハリーたちと乗り込もうとしたが、ネビルとハーマイオニーも乗ろうとしているのに気付き、2人に譲った。
「ハリー、ロン、ごめんね。私別のボートで行くから、向こうで会おう」
「ごめんなさい、ありがとう、ちぃ」
「気にしないで、ハーマイオニー」
申し訳なさそうなハーマイオニーに、笑顔で返し、ちぃは他のボートを探しに行った。
すると、今まさに乗り込もうとしている、あの3人を見つけた。
『あ・・・マルフォイ君だ』
真っ暗な中でもひときわ輝くプラチナブロンドが、紛れもなく彼だということを語っていた。