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□金色の景色〜第1章〜 「始まりの特急列車」 『揺らめく心』
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運命はコンパートメントの扉からやって来た。
ちぃが顔を向けると、そこには男の子が3人いた。
ちぃの目に最初に飛び込んできたのは、煌めく金色だった。
そして、次の瞬間にはそれが3人のうちの男の子の1人のものだとわかった。
多分ちぃたちと同じ1年生だろう。
さっきちぃが目にした金色は、彼の髮だった。
サラサラと流れる繊細なプラチナブロンド。
ちぃは、こんなに完璧な混じりけのないプラチナブロンドを見るのは初めてだった。
彼の白い肌がそれをいっそう引き立たせている。
ちぃも肌は人よりずっと白かったが、彼の肌はまるで新しく降り積もったばかりの、誰にも汚されていない新雪のようだった。
そして、瞳−−−。
ちぃは、まだ小さかった頃に両親が連れて行ってくれた湖を思い出していた。
透明に澄んだ湖面に、空の爽やかな青が白い雲と一緒に写り込んでいた、あの美しい景色を−−−。
ちぃが人の容姿にこんなに注目したのは、家族以外では初めてのことだった。
いつものちぃは、人の姿形にあまり左右されない。
いつだってその人の中身を、本質を見ようとする。
ちぃにとって、外見や経歴、身分で人を決めつけてしまうことが、一番いやなことだったから。
それなのに、その時のちぃは、彼から目を離せなかった。
まるで、物語に出てくる王子さまみたい−−−。
それでなかったら、きっと妖精。
「ほんとかい?このコンパートメントにハリー・ポッターがいるって、汽車の中じゃその話で持ち切りなんだけど。それじゃ、君なのか?」
彼は、どうやらハリーを見に来たらしい。
そこで初めて、ちぃは彼の後ろの2人を思い出した。
どうして忘れられたのか。
2人とも、こんなにデカいのに・・・・・・。
ちぃは、それほどまでに彼のことで頭が埋まっていた自分に驚いた。