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□金色の景色〜第1章〜 「始まりの特急列車」 『素朴な幸せ』
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『そろそろお腹が空いたなぁ・・・・・・』
今朝は、新しい学校生活への興奮と緊張で、
朝ごはんがまともに喉を通らなかった。
それが幾らか収まってきた今となっては、
ペコペコのお腹が急に気になり始める。
妙に寂しいような気持ちで、ちぃがお腹を擦った時、
「車内販売よ。何かいりませんか?」
にこやかな声と共に、えくぼが似合うおばさんが入ってきた。
なんてナイスタイミングなんだろう!
ちぃの顔は一気に
パアァッと明るくなった。
ハリーとちぃは2人でそのワゴンのお菓子を買い占めた。
おばさんは目をまん丸にしてビックリしていた。
そして当然のことながら、3人のいるコンパートメントは、大量のお菓子で占拠されていた。
ちぃは早速、蜂蜜色のぷっくりとしたトッフィーにかぶりついた。
『あぁ〜しあわせ〜!』
ちぃは好き嫌いがなく何でも食べる方だったが、甘いものは特別だった。
サンドイッチがあるからと遠慮するロンにも薦めて、3人は夢中でお菓子を食べた。
「これなんだい?」
どうやら、ハリーは蛙チョコレートに興味を持ったようだ。
「蛙の形をしたチョコレートだよ。おまけにカードが付いてくるの」
「カード?」
「有名な魔法使いとか魔女とかの写真だよ。僕、500枚ぐらい持ってるけど、アグリッパとプトレマイオスがまだないんだ」
「あ、その二人なら私確か持ってたから、今度あげようか?」
「いいの!?」
「うん。私別に集めてたわけじゃないから」
ちぃの言葉にロンが「やったぁ!ちぃありがとう!」と叫んだ。
ハリーはその間に袋を開けたらしい。
ハリーのカードは、
アルバス・ダンブルドアだった。
ハリーは写真からなかなか目が話せないようだった。
車窓から見える風景は
どんどん変わっていく。
どこまでも続いている森や川を過ぎて、
人が立ち入らない鬱蒼とした暗緑色の景色が広がっている。
列車は順調にホグワーツへ向かっていた。