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□A hazy moon
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いつの間にか隣に居て
俺の事なんか相手して無いくせに
なんで隣に居るんだよ。

そう言ったら何食わぬ顔して
目も合わせずに


「一緒に居てって言ったのヒューじゃん。」


期待はずれの言葉に
期待してた自分が
少し恥ずかしくなって
其処で問いかけるのを止めたけれど
やっぱり切ないもんで
口は勝手に動いてて


「一緒に居てって言わなかったら居ないのかよ。」
「………。」


嫌な沈黙

外を見たら朧月(オボロヅキ)になっている
と思ったのに
思ったのに
確かに目許は濡れていて
綺麗な満月なのに

俺にだけ朧月に見えるんだ。

そう思ったら込上げてたものが吹き出して
再び口を開いたら
己はとんでもない事を言っていた


「俺ジャックの事好きなんだけど。」
「………。」


再びの沈黙
途端に大きい溜息
どこかが痛んで
何かが寂しくて
もう一度だけ空を見上げたら
雲が邪魔して月は消えていた


「……知ってる。」


沈黙を破った声は明らかに震えていて
視線を遣ったら
もう其処には居なかった
探すまでもなく俺が居た場所は
奴の腕のなかで


「Because I protect you, please be in the neighbor forever.」
「………くそっ……」
「解かるだろ?」


一瞬で泣きそうに歪んだ顔は晴れて
代わりに与えられた温かい体温が伝わるのに
そっと微笑んだのは




俺しか知らない。







FIN

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