失恋というものは。

□青い空
1ページ/1ページ

ある広い庭で、二人の男女が向かい合っている。
いや、男女というのは正しくないのかもしれない。
正確には、男の子と女の子だ。
お互い木の棒を持って、睨み合いながら。
女の子が叫ぶ。
「始め!」
二人の距離が縮む。12歳程度の子供だ、体力もあまりないはずなのに、とても早く棒を動かす。どうやら二人とも剣道の心得があるようだ。
互いの棒がぶつかり合っていたのが止まり、勝敗が決まる。
どうやら女の子が勝ったようだ。
男の子は気絶したように倒れている。
「大丈夫!?」
女の子は、自分で倒したはずなのに、男の子の方へ駆け寄る。本当に気絶していたようで、女の子は少し考えた後、男の子を担ぎ、廊下に続く段差を登る。登り切ったところで、着物の裾が足に引っかかり、転倒した。
そのまま動かない。
どうやら女の子の方も気絶してしまったようだ。
日本家屋の廊下のど真ん中で、二人の子供が気絶している。
……これからこの二人の物語をじっくり語らなくてはならないのだか、予想だにしない始まり方になってしまった。
まぁ、この二人にはお似合いの始まり方なのかもしれない。

いつしか二人は気絶した状態から、睡眠に移行したしい。
耳をすませば、可愛らしい寝息が聞こえてくる。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ