没ネタ 二次創作

□京極堂シリーズ
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【妄想・鵺の碑】
(日光にやってきた関口は山中で道に迷い、川伝いに人里へ降りようとしている所で堂島と出会う。
同じ頃、日光にある兄総一朗のホテルにやってきた礼二郎は、兄に誘われ共に銃を片手に、山に狩猟に出かける。
関口は同じく道に迷ったらしい堂島と共に、川を下っていると…)


 
榎「あ、猿がいる!猿じゃないか!こんな所にいるとは驚きだなぁ。そうか、仲間の山猿に会いに来たのか」
関「え、榎さん」


崖の上から大声で聞き覚えのある声が降ってきたので驚いて見上げた関口の先には、相変わらずよく分からないヘンテコな格好をした榎木津が、今では見かけなくなった銃を肩に掛けて立っていた。

突然の榎木津登場に戸惑う関口。
後ろから突然走って先に行ってしまった礼二郎を追いかけて来た兄、総一朗が、肩で息をしている。

そこで堂島に目を留めた榎木津は不意に厳しい表情を浮かべ、関口の目の前に立っていた堂島に向かって軽蔑の眼差しを向けてこう言った。


榎「関君、その男からすぐ離れるんだ。そいつは化け物だ。京極の好きな妖怪だ。いや、妖怪と化け物は別物かなぁ?
まあいいや。京極は憑き物を落とすが、そいつは憑き物を付ける奴だ。危ないから、今すぐ離れなさい!」

堂「おやおや、久しぶりの再開に相変わらず随分なご挨拶ですね、榎木津君。私はまだ何もしてませんよ?」

堂島は怪しく笑う。

榎「よく言う!そこの猿を罠に嵌めて檻の中に閉じ込めたのはお前じゃないか!
(中略)
…?それはなんだ?蛇だな。いや、虎もいるぞ。猿もいるな。まるでサァカスじゃないか!」

いつもの如く突拍子のないことを言い出した榎木津に、何が何やらと呆れる関口だが、堂島は微動だにすることなく榎木津を見据える。


堂「相変わらず、面白い"眼"を持っているな榎木津君。
私も欲しいくらいだ。
…さて、これ以上君に"観られては"次の機会が面白くない。
私はここいらで退場させて貰おうか」
榎「待て!逃げられると思うなよ!」

数メートルはある崖の上にいると言うのに、躊躇うこともなく飛び降りた榎木津は、踵を返そうとする堂島を捕まえようと動くも、すぐそばにあった川が突然ありえないほど波打ち榎木津達の視界を覆う。
水が地面に飛び散った頃には、目の前には誰もいなかったのだった。
(中略)



(堂島との遭遇を京極に話す榎木津)
榎木津・関口ほかが集まった、京極堂にて…


「それで榎さん、堂島さんに何が見えたんだ?」
「サァカスだな」
「サァカス?」
「虎と蛇がいたぞ。猿もいたな。あぁ、でも猿は死んでたな。きっとしつけが厳し過ぎたんだろうな。」
「猿が"死んでた"?」
「そうだ!きっとあの男は死んだ猿の代わりに、この物覚えの悪い馬鹿猿を捕まえて、芸の一つでも覚えさせようとしたんだ!」

「それにしても、サァカスならなぜ象がいなかったんだろうな。象は可愛いし、頭がいいのに。象の方が玉乗りも出来るし、絵だって描けるのに。不思議だなぁ」

ふわぁぁと大きな欠伸をした榎木津は、京極の飼う飼い猫、柘榴が嫌がるのを無視して撫で回した後、いつものようにうとうと寝はじめた。
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