没ネタ 二次創作

□金田一少年の事件簿xまじっく快斗
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「ところで遠山さん」
「はい?」
思わぬところから声を掛けられた高遠は、驚きながらも声の主たる白馬の方に向き直る。

「先程青子さんが、遠山さんはマジシャンだと言っていましたが・・?」
「ええそうですが。」
「よければ黒羽くんと一緒に、怪盗キッド対策の防犯対策をお願いしてもいいですか?」

中森警部に頼まれて先に展示ケースを触って、防犯しているように見せかけてキッドとしての仕掛けを施していた快斗は、その発言に驚いて振り返り白馬に抗議するも、白馬はしれっと「どうかしましたか黒羽君?」などと含みのある笑いを向けて、同級生の邪魔をする。
2人が互いに抗議し始める中、高遠は白馬の申し出を断る。

「何故です?キッドはマジシャンです。同じマジシャンである遠山さんなら、キッドが事前に仕掛けているマジックのタネを、見つけて無効にすることぐらい出来るのではないですか。」
「私はキッドの邪魔をしに来たわけではありません。ただ、一観客として怪盗キッドのマジックをまじかで鑑賞できればいいので、その様なことはしたくありません」
「しかし・・・」
「ああ、でも“彼”が“私”ごときのマジシャンに見破られる“二流マジシャン”ではない事を信じて、微力ながら“協力”しましょう」

“二流”という言葉にカチンと来た快斗は、怒鳴りたい衝動を一生懸命抑えて、すぐさま父親の教えであるポーカーフェイスを作り、高遠を無視する。
白馬に頼まれた通り、展示物を入れるガラスの箱やその周辺をチェックするふりをしていた高遠は、ふと黒羽に質問する。


「ところで黒羽君でしたか。お知り合いに黒羽盗一というマジシャンはいませんか?」
「黒羽盗一は俺の親父だぜ、遠山さん」
「!!それはそれは。道理で高校生の割には中々器用な腕を持っている訳ですか。いえ彼も中々の腕をなさっていたので。」
「中々って・・・オヤジより他に、世界一のマジシャンなんているのかよ!」
「人によって誰が“世界一”かは違うと思いますが」
「へー、じゃあ遠山さんにとっての“世界一”のマジシャンは誰なんだ」

挑発するような口調で、隣にいる遠山に尋ねた快斗。
目はその辺の「二流マジシャン」なんかは認めないぞ、と言っている。

「私ですか、私にとっての“世界一”は近宮礼子です。彼女以上の奇術師は他にはいないと思っています。・・・さて、しが無いマジシャンの私が手伝う様な事はなさそうですので先に失礼します。」

などと立ち上がった高遠の腕の中には、先程まで快斗がキッドとして一生懸命仕掛けをしていたマジックのタネが握られていた。

(あいつ、邪魔しねえとか言ってたんじゃねーか?!俺の最初のマジックのタネ抜きやがった。どこが“微力ながら”協力するだよ!)

意気揚々と金田一達の元に戻って行く高遠の後姿を恨めしく睨みつけた快斗は、すぐさま用意していた予備のマジックのタネを確認する。

「高・・・いや遠山さん、あいつと何しゃべってたんだよ。黒羽盗一って?」
「知りませんか、黒羽盗一。彼は」
「黒羽盗一は快斗のお父さん。すっごいマジシャンなんだよ。」

突然会話に割って入って来た青子に、驚いた二人だが、二人以上に驚いたのは白馬だった。

「黒羽君のお父さんは、あの黒羽盗一だったんですか?!」
「そうだよ白馬君。あ、白馬君は最近転校してきたばかりだもんね、知らなくて当然か」
「それで黒羽盗一ってのはどんなマジシャンなんだ」

金田一の問いに答えたのは高遠だった。

「“東洋の魔術師”と呼ばれて、舞台の花形飾るほどの腕の持ち主でした」
「あんたが褒めるってよっぽどだな。で、“でした”って、なぜ過去形?」
「8年前にマジックショーの最中に事故で亡くなってます」


「雪の女王」に怪盗キッド用の仕掛けを施して帰って来た快斗は、いっせいに同情の目線を向けられ言葉に詰まる。

「なんだよ。親父は随分前に死んだんだ、お袋は生きてるんだから別に大丈夫だよ。そんなことよりもうすぐキッドの予告時間だろ」
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