没ネタ 二次創作

□京極堂シリーズ
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題名:赤紙 〜あるいはもっとも戦場に行ってはイケない男

 関口に間違って赤紙が届く話。



 理学生である関口には勿論免除になる筈だが、紙を持って兵役調査所に「間違いですよ」なんてのこのこ行く事すら出来ない。
世は戦時中。誰もが人の為国の為、なにより陛下の為に命を捧げよと言う時代なのだ。
大学を出た後も、細々と研究をし続けて来たのも、ある意味戦争に行きたくが無いためなのだ。
自身が戦場に行けばどうなるかは自分が一番分かっている。
自分の様な常に、うつと僅かな平穏の間を行き来するような人間が、その様な所に行けば一時間もしないうちに発狂し、前後不覚のままやがては敵の銃弾の前に倒れるだろう。
きっと陛下の為どころか、誰の為の戦功も上げる事なくあっけなく死にいたる。

自身のそんな最期は嫌だ。戦争なんて嫌だ。死にたくない。
しかし、逃げることなんてできない。
逃げる場所なんてないし、頼れる人もいない。
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