没ネタ 二次創作

□京極堂シリーズ
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題名:別れ あるいはまた逢う日までの再会待ち

 「てめーが、大学だぁ?!」

煩いぞ、下駄男!などと目の前で喚く、親友もとい腐れ縁に、一発かまそうとした自分の拳はあっさりとかわされて空を切り、代わりに腐れ縁からの足蹴りが同じ速度で飛んできた。木場にとってこの男とのこの手のやり取りはいつもの事なので、頭で考えるよりも先に体が勝手に反応し相手の蹴りは余裕でかわされた。

高校を卒業した梅がほころぶ春。
自身と男の天地の差ほどある家庭事情により、小学校から今までに至るまで同い年ながら同じ学校に通った事が無い割にはなぜか、今までこの様に定期的に顔を合わせている男に呼び出されて、近くの公園までやって来た木場は、大学に行くとほざく西洋人形の様な綺麗な顔を持つ男の言葉に苛立っていた。
その表情を苛立つ反抗期の子供の様に歪ませたまま近くにあったベンチに踏ん反り返った彼は、淡々とこれから先の事を述べて行く。

父親の薦めもあり東大の法学部に進学する事が決まった榎木津は、特にしたい事もなかった為、渋々それを受け入れ入学試験もあっさりと合格して、春からは東大生として自宅通いに甘んじるそうだ。


「お前が東大に行くくらいなら、今すぐ軍隊にでも入れ!榎!!
バカが大学行ったところで、何にも変わらない!それどころかお前のせいで東大の1席分減るくらいなら、別の奴を入学させた方が世の為、人の為だ!」

白黒はっきりつけたがる木場らしい発言を、興味なさそうな上の空顔で腕を後ろで組んで聞いていた榎木津は、ちらりと顔をこちらに向けて何か言いたそうにしたが、しばらく無言のままだった。

「修は・・・修ちゃんは、これからどうするの?」


・・・軍隊に行くと言う木場を、意味の分からない言葉を並べながら、心の奥底で彼の心配する榎木津。
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