Love ManiaC

□笑顔の元気
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「あいつ…そろそろシゲ断ちするって宣言しとったしな」

「まぁ、そんなこと口に出さんでもみんな気ぃついてるのにな」

「シゲもいい加減話し聞いてやる覚悟できたんか」

「まぁ、いい頃合やろーな」






よくもまぁ、次から次へと動く口や。

俺の気も知らんと。




俺断ち?

なんの為に?

意味わからん。



俺は慎平にとって必要やなくなってるってことか?

やから今日は一切目も合わせんし
甘えるどころか喋ってもこんのか?





なんやねん。






「ふざけんなや!!」





思わず出た声の大きさに自分でも驚いたけど、今はそれどころやない。


慎平の態度がおかしいのは、たしかに今に始まったことやない。


なんとなくやけど、ちょいちょい違和感を感じることはあった。


でも、最終的には…








さいしゅうてきには…?







あいつ、俺の前で笑ってたっけ…?







思い出されへん。




あいつが笑ってることが当たり前になりすぎて

あいつが俺を好きなことが当たり前すぎて

あいつが隣にいることが当たり前すぎて






全然思い出されへん。






笑ってたか?

スキやでって言われてたか?

隣におったか?






そうか。




最近感じてた違和感って…これか。








「小瀧……竹本、ちょっと借りていいか?」



「おん、ええで。シンペーも…ちゃんと話した方がイイわ」



そう言って慎平の背中を軽くおした小瀧は、デカイ体を最大限に伸ばして大きな伸びをすると席を立った。



「りゅーせー、ボク喉乾いたわー。ジュースおごってくれるやろー?」


「お?やっと俺んとこに帰ってきたか♪なん飲む?半分こしよーな♪」


なんで半分やねん!とかなんとか言う小瀧の声は、すでに楽屋を出て、廊下から聞こえてきていた。



「カミちゃん…俺らも…」


今までカミちゃんと仲良く振りを合わせていたガッキーが、カミちゃんのレッスン着の裾を引っ張ってるのが見えた。


「お♪半分こするか?間接チューやなぁ」
「せーへんわ!」



何事もなかったかのように二人も楽屋を出ていく。





「おってくれたほうが話しやすかったのに」


なんて小さな声でつぶやかれた言葉も、静かな楽屋やと聞こえてしまう。




話したほうがイイ?

なにを?

俺から離れることを?

他に好きな奴できたとか…言い出すんか?




俺………


ふられるんか?



勢いだけで慎平の前に立ってはみたけど、現実を受け入れる覚悟なんて一切出来てへん。



でも、知りたい。



どんなことでも知りたいねん。







慎平のことを。






「…しんぺ?」





「なぁ。なんで避けてるん?」





重い沈黙。







「となり…座ってもええかな?」






下をむいたまま口を開かない慎平が、静かに頷くのを確認して
さっきまで小瀧が座っていたところへと腰を降ろす。







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