NARUTO「カカスレナル」novel
□同棲生活
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くしゃっとナルトの頭をひと撫でし、手を引っ込めた。
「さ〜てと。じゃあ、バタバタしちゃったけど、ご飯にしようか。ナルトは何食べたい?」
沈んでしまう空気を払拭する様に明るく話し掛け台所へと向かったカカシに心の中で「すまん」ともう一度謝りながら、ナルトも台所へと向かった。
「冷蔵庫にろくな物入ってないと思うぞ。」
先に台所へと行っていたカカシは、しゃがみ込み冷蔵庫の扉を開けながら中を確認していたが。
「ん〜。本当だ。仕方ない買い物に行こうか」
苦笑いをしてナルトの方へ向き直ったカカシは買い物に行こうと提案してきた。
「そうだな。じゃあ、変化するか」
そう言って印を組もうとしたのだが、カカシが不思議そうな顔をして見上げてきたのに気がついた。
「何で変化…?」
「俺はまともに買い物が出来た試しが無いからな。変化した姿なら誰も俺だと分からないだろ?」
苦笑いをして、変化をする理由を話すとカカシは暗い表情になってしまった。
「……ごめん。」
「別にカカシが謝る事じゃない。この際だから、暗部の任務の時も今から変化する姿にしようかと思ってる」
そう言って再び印を組んだナルトはポフンと煙を上げて変化をした。
その姿は……。年は二十歳位だろう。金髪ではなく、金髪に近いがハニーブラウンの髪。その髪を襟足のみ背中の中ほどまで伸ばし一つに束ねていた。
瞳もブルーではなく、金に近い茶色だ…。だが、その姿は意識した訳ではないのだろうが、亡き四代目に似ていた。
「ナルト…その格好…」
ナルトの姿に驚きを隠せないカカシはマジマジと見入ってしまった。
「ああ、どうせ任務の時も変化しない訳にはいかないだろうからな。いつも買い物に行くこの姿は変化しなれてるし。カカシも慣れてくれな」
そう言ってカカシに向き直ったナルトは、大人になったらこうなるだろうと思わせる。
「その姿も良いけど、買い物や任務の時以外は使わないでね?俺はそのままのナルトの方が良い」
苦笑いしつつ、そう告げ立ち上がると、「それじゃ、買い物に行きましょうか」と言って玄関へと向かうのだった。
「カカシも暗部の時は髪は変えなくても変化してるんだろ?どんな姿なんだ?」
そう言いながらカカシの後を追ってくる鷹の姿。
「ん〜?見たい?見せても良いけど、手繋いで買い物行ってくれる?」
そう言いながら印を組み変化をする。髪は銀髪のままだが、やはり背中の中ほどまで伸ばし一つに纏めている。瞳もオッドアイではなく、瑠璃色の瞳。顔も少し変えているのかいつものカカシよりも少し若く見える。
「ど?狼の姿の俺は。じゃあ、変化した姿見せたんだから、手…繋いでねVv」
そう言いながらヒラヒラとナルトの前に手を差し出した。
「そんな恥ずかしい事出来るかっ!」
差し出された手をパシッと弾き返そうとしたのだが、逆にその手を握られてしまった。
「手を離せ!」
「や〜だよ。」
「離せ!」
「……嫌だよ。」
急に真剣な声で返事を返されて、思わずカカシを見上げてしまった。
「嫌だよ。今まで1人で寂しい思いをしてきたんでしょ?手を繋いだり一緒に買い物やご飯食べたり…寂しいなんて思う暇なんか無いくらい全部俺が一緒だからね」
そう言ったカカシの表情は任務の時の様に真剣でナルトは何も言えなくなってしまった。
「………バカカシ。」
ボソッと一言呟き、未だに若干警戒していたナルトは完全に緊張の糸を切った。火影以外にここまで、素を晒すのは初めてではないかと思う。
「ナルト?」
ボソッと呟いたきり俯いてしまったナルトに優しく話し掛る。
「仕方ないな。お前に付き合ってやる」
どこか吹っ切れたのか、繋がれたままの手を目の高さまで上げるとニッと笑ってカカシを見上げた。
「渋々でも何でも良いよVvじゃあ、夕食の買い物…行こっかVv」
「ん。」
そう返事をしてギュッと手を握り返した。
握り返されるとは思わなかったのか、一瞬驚いた表情をしたカカシだったか、すぐに嬉しそうな笑顔に変わった。
「ついでに、抱っこもしてあげようか〜♪?」
「調子に乗るなっ!」
反対の手で、カカシの背中をバシッと叩きながら笑い合い、商店街に向かって手を繋ぎ歩き始めたナルトは、不思議と嫌な気はしないな…と思うのだった。
この思いが恋心に変化するのはまた、少し後の話……。
→おまけ