NARUTO「カカスレナル」novel4
□酒は飲んでも
1ページ/1ページ
カカスレナルnovel『酒は飲んでも…』
この話はナルトとカカシの正体が暗部内に知れている事を前提にしています。
「ねえ、カカシってさー、日本酒とか飲みそうなイメージなのに何で果実酒しか飲まないの?」
「美味しいから」
ナルトとカカシは自分の正体を知っているメンバーを引き連れて行きつけの居酒屋に来ていた。
そこは一般人は入れない場所で、常連の紹介が無くては入れず、もしくは暗部関係者でなければならない。
この店は、現役を退いた元暗部によって経営されているのである。
本来暗部と言うのは任務の危険性も高く、職を辞する時はたいてい忍として致命的な怪我を追ったりしている場合が多く次の職につくには難しく、しかも忍としてしか生きて来なかったものには少々辛い。
そんな彼らに、なら暗部専用の店作って経営すればと言ったのがナルトとカカシ。
暗部は任務帰り等もその格好や、特殊職によって一般の店に毛嫌いされる。
だから暗部服のままで、暗部の仕事の話しが出来て、尚且つ暗殺の危険性の少ない店と言うのは非常に魅惑的だった。つまりナルトたちの提案はあっさり通り、現在に至ると言うわけだ。
今も任務帰りらしい、血みどろの暗部小隊が店奥のシャワールームに向かい、途中でナルトとカカシに挨拶していった。
ちなみに子供が居ることに誰も突っ込まないのは、彼等のボスが子供だからでその辺りの柔軟性は里内で暗部が一番高かったりする(別名見て見ぬ振り)
「美味しいからって…じゃあアンタ焼酎とか嫌い?」
「う〜ん…。日本酒は嫌いじゃないけど。焼酎は臭いから飲まない」
「お子様!」
「うるさい」
まだピチピチ20代前半だと果実酒を舐めながら鼻で笑うカカシ。
ぐっ…と言葉に詰まるのは指摘していた紅とアスマ。
その横ではナルトが一升瓶持って日本酒をラッパ飲みしていた。
「あはは、カカシに何言っても無駄だって……こいつ果実酒ラッパ飲みする奴だから」
「ゲッ、マジかよ」
「目の前でソレ見たとき俺はカカシの神経疑ったね」
「もしかしてカカシって悪食か?いや、酒に弱いのか?」
「酔ったカカシの醜態拝むのも楽しそうね」
うん、と頷くナルトに同調するようにアスマや紅から声が上がり、勝手に酒に弱いと決め付けた彼等がカカシの醜態ってどんなのだろうな!と騒ぎだし、周囲からカカシに微妙な視線が向けられる。
それに気付いたカカシがふむ、と一つ息を吐くと狼の姿に変化した。
ぽふん、と音を立てて現れた銀の麗人。艶やかな長い銀の髪を耳にかける動作すら優美だ。
「?」
しかし何故急に変化を…と周囲が首を傾げると、ニッコリと綺麗に笑った。
「さて皆さん。今から良いコトしましょうか」
狼になると自動的になる敬語口調と、更に深まる笑み、そして良いコト…。
凄く怪しい。とっても怪しい。無茶苦茶怪しい、けど色っぽい。
「な、なに、するんだ?」
ゴクリ、とアスマが喉を鳴らしながら聞けば、カカシはテーブルの上にあったガラスコップを手に取りそれに軽くキスをする。
「飲み比べ、ですよ。私が負けたら、醜態も見れるかもしれませんよ。あぁ、そうそう」
私は酔うと脱ぎ癖があるようです、と付け加えたカカシに、話しを聞いていたらしい他の暗部たちも座敷に乱入してきた。
「ふ、副隊長!俺も参加、参加させてください!!」
「俺も!」
「退け私が先だ!」
「もし狼様が酔われたら介抱して差し上げますからッ」
「おやおや…良いですよ。さて、飲み比べする方だけ移動しましょうか。私の醜態をタダで見せるような真似はしたくありませんからね」
ふふっ、と優美に笑う顔に、暗部たちがふらふらとその後ろをついて行き、アスマは完璧な男のあられもない醜態を見るためについていく。
それを見送った、この場に残るナルトに紅は誘蛾灯か、と突っ込みを入れた。
「ねえ、ナルト?あのまま放置してて良いの?カカシ喰われちゃうんじゃなぁい…?」
「大丈夫だろ。確かにカカシは酔ったら脱ぎ癖あるけど」
見たことあるんだ…と言う視線に俺達ヤるコトヤってますよと言ったナルトは頬杖をついて手酌を始めた。
「カカシが酔うまで飲める奴は、俺くらいしか居ないんじゃねぇの?」
「……それってつまり、カカシはザルなのね」
「ザルじゃなくてワクだな。俺は腹の奴のおかげで酔えないし。そんな俺に付き合えるカカシもカカシだって事」
それにさ、とナルトは溜め息を吐く。
「果実酒って、モノによったらアルコール度無茶苦茶高いんだぞ?」
つぃっと先程までカカシが飲んでいた瓶を指差すナルト。
紅がそれを掴んでラベルをひっくり返す。
「……75度」
「火がつく度数だろ?」
サラッと告げるナルト。ヒクッ、と頬が引き攣るのを止められない。
隣の座敷ではやんややんやと歓声が上がり、随分ヒートアップしているようだ。
「あのカカシが勝てねぇ勝負挑むわけねぇだろ」
確かに、とナルトの呟きに紅は深く頷き、一時間後、やけに爽やかな顔をして戻って来たカカシの腕には真っ赤な顔でぐったりしている暗部たちの姿があったそうな。
「確信犯、俺とも飲み比べしないか?」
「嫌ですよ、あなたの前でストリップなんて冗談じゃない」
「人を狼みたいに」
「私の、男のストリップ見て喜ぶ奴の気がしれない」
「カカシのだから喜ぶんだろ?」
喉で笑うナルトに、カカシがストリップしたかは…。