NARUTO「カカスレナル」novel4

□いざ尋常に勝負
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カカスレナルnovel 『いざ、尋常に勝負!』



(やはり手強い)

吹き飛ばされた勢いを回転で殺して、狼は素早く体勢を立て直す。
頬を打たれた拍子に口内を切ったらしい。しばらく飯食べる時痛いだろうなと思いながら血を吐き出して、すぐさまその場を飛びのいた。
直後、鷹が木の上から叩きつけるように蹴りを放ってきた。冷や汗が流れる。

「悪いが本気でいかせてもらう」

「はっ、最初から手加減なんて期待してないですよ!総隊長殿!」

肘打ちから拳打、掌拿。蹴りも交え、お互い怒涛の勢いで手数を繰り出す。パン、パシンと打ち合う音が周囲に響く。
受け流す技術は確かに鷹の方が上だ。柳のように、どこを狙っても易々と衝撃を殺されてしまうのでやりにくい。だが、速さと力はこちらの方が勝っているのだ。そう易々と負けるわけにはいかなかった。肘を弾けば、鷹が苦悶の表情を微かに浮かべた。

「ッ本気、出すんじゃないんですか?」

「この、負けず嫌い!」

「どっちがですか!」

膝が鷹の腹に埋まる。体を二つに折って苦しげに咳き込む鷹に、とどめだと拳を振り下ろしたが、咄嗟に横転して避けられたために空振りに終わった。

「往生際悪いですよ!」

「悪くもなる!一世一代の大勝負だぞ!?」

「だからでしょう!大人しく負けてください!」

「嫌なこった!」

まだ苦しいのか、叫んだあとに数回咳き込む。その隙に間合いを詰めて蹴りを放った。肩を掠めるに過ぎなかったが、体勢を崩すことには成功した。

このまま押し切る!と安易に詰め寄った瞬間に鋭い痛みが走った。鷹が無理な体勢から手刀を繰り出してきたのだ、僅かに反応が遅れた。鷹の手が腹にめり込む。

鷹は汗を伝わせながらも笑っていた。俺が下がると思っているのだろう。確かに、これ以上鷹の手を腹に押し込めば臓腑を傷つけるかもしれない。
だが、知ったことか。

「このっ!」

「な!?」

腹に手をめり込ませたまま、鷹の体を地面に叩き付けて馬乗りになる。手が腹に一層深くめり込む形となったが、臓腑の位置からはややズレていたようだ。問題はない。

顔を下に向ければ、悔しげに顔を歪める鷹。
きっと俺は勝利者の笑みを浮かべていることだろう。口の中は血が止まってないし、腹もズキズキ痛む。それだけじゃない、掌打をいくつか貰っていたから、きっと体中に痣ができているはずだ。
だが、俺は勝ったのだ!

「……文句ないですね?」

「攻撃打数は俺の方が多かった」

「まだ粘るんですか。諦めて下さい。俺も諦めたでしょう?」

「ううううう!!」


駄々っ子のように頭を掻き毟って、こちらを鋭く睨みつける。その瞳に未練がましいものを見て、俺は晴れ晴れしく笑った。


「これで俺が補佐決定です!」

「いやだー!俺だってその位置がいい!」

「諦めて火影になってください」

「いやだぁぁぁ!!」

「諦めが肝心ですよ?ほ・か・げ・様?」

「は……っその言葉そのまま返してやる!諦めてお前が火影になれ!」

「それはそれ。これはこれです」

「この野郎…!!やっぱり納得いかねぇ!」

「くどいですよ。さーて、綱手様に報告に行きましょうね〜vV」

「いやだあああああ!!」



甘い意味は無く。面倒臭い火影にどっちがなるか、勝負していた2人なのでした。



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