NARUTO「カカスレナル」novel4

□日々徒然
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カカスレナルnovel『日々徒然』
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昼下がりのとあるコンビニ。

「動くな!」

「「!!」」

キャー!

くぐもった男の怒鳴り声と店内に響いた悲鳴に、ナルトもカカシもビクリと肩を震わせた。
カカシの手にあったコーヒーがカランと音を立てて床に落ちる。

素早く視線を巡らせて状況を把握したカカシが、僅かにわなわなと奮えだした。
恐怖のあまり――なんて訳ではもちろんない。
顔色の悪いカカシを慰めるでもなく、ナルトもどこか遠い目をしていた。

「鷹…」

「………」

「お祓い…行ってきな!」

「………」

「今日は何事もなく帰れそうだと思ったのに…!」

「………」

反応のないナルトにため息を零しながら、実は続いていたコンビニ強盗からの要求――手を挙げろ、一カ所に集まれ――に応じる。
周りには恐怖で青ざめ涙ぐむ、という真っ当な反応を示す店員を含めた幾人かの人々。

カカシの口からまた大きなため息が零れた。





――で。



「な、何者なんだてめーらは!」

「善良な一般市民」

「ざけんな!」

「うるせーな」

さっきまではあまりの恐怖に言葉が出なかった人々がぽかんと口を開けて呆気に取られるあまり言葉を失っていた。

死屍累々と積み上げられた犯人たちの上にどっかり腰を下ろし、腕を組む鷹もといナルト。
まるで漫画かコントだ。

顔を赤くしての必死な抗議もあっさり流され、おまけにぐっとわざと体重をかけられ声を詰まらせる。そいつより下にいる犯人たちからは蛙が潰されたようなうめき声が漏れた。

1番可哀相なのは、1番先に倒され1番下に敷かれた奴だろう。

何しろ仲間とナルトの体重がかかっている。現に、1番下の犯人はほとんど身動きしていない。

変に怪我をしてなければいいけど、とカカシは心配になった。
もちろんその心配の対象は過剰防衛になりかねないナルトであって犯人ではないのだが。
カカシの心配をよそに、ナルトは犯人たちを冷たい目で見下ろしふんと鼻を鳴らした。

「ったく…お前らが余計なことするから狼に厭味言われたじゃねーか!」

「厭味って言うか…さ」

「狼は黙ってろ」

「スミマセン」

ギロリと睨まれカカシはあっさり白旗を挙げる。

ちなみにその右手は口寄せをした時の傷が付いていた。
つまり綱手にはちゃっかりしっかり連絡済みだ。もう間もなくこの可哀相な犯人たちも捕まるだろう。
自業自得としか言いようがないが、よりにもよってカカシとナルトのいるコンビニを選んだのが運の尽きだった。

黒い上下に目だし帽という典型的な格好に、お粗末な犯行計画。
テンプレ通りの『強盗犯』に、久し振りのデートを潰された二人がブリザード混じりの視線を投げかける。

「三流だな。オリジナリティがねぇな」

「手口も穴だらけだしねぇ」

犯罪にオリジナリティを求めるのも、一般の(?)強盗犯の手口と暗部の総隊長と副総隊長の手口を比較するのも色々間違っているが、そんなことを気にするマトモな感覚など、当然ナルトにもカカシにも備わっていない。

ふんっ、と若干やさぐれモードなナルトが見る者を凍えさせる目で犯人たちを見下ろした。

「お前達なんか、2時間サスペンスの冒頭の事件の犯人並の雑魚だ」

「…鷹が言うと、この後2時間サスペンスばりの事件が起こりそうだからヤメテちょうだい」

「…………」

失敬な、とは思ったがあながち否定できないナルトだった。




(非日常的な彼らの日常)

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