NARUTO「カカナル」novel
□大丈夫
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―――この手で消した命の最後の表情が消えない。ナルトと同じ金の髪に蒼い瞳の男の子だった。
本日の7班での任務が終わりそれぞれに帰路へと付いていた。
ナルトも例に違わずアパートへの道のりを歩いていたのだが。小さなつむじ風と共に現れた馴染んだ気配に顔を上げた。
「カカシ先生、なんだってばよ?」
報告書を出しに行ったハズのカカシが現れ、何か失敗でもして注意に戻って来たのかと身構えてしまう。
「いや…あのさ、ナルト…一緒に帰らない?」
珍しく歯切れの悪いカカシ。何を言い出すのかと思えば『一緒に帰ろう』だった。
「別にそんくらい良いってばよ?」
「…俺ん家でご飯も食べない?」
俯き少し雰囲気のおかしいカカシに何かを感じ取ったナルト。
「……良いってばよ?」
「今日は…寒いから人恋しくて…さ」
しゃがみ込み、ギュッとナルトを抱き締めるカカシは微かに震えていた。
「………スーパー寄って帰ろってばよ。寒いからお鍋にしよ?俺ってば頑張って作るから」
抱き付いてくる大人の頭を優しく撫でながら、心の中で『大丈夫だよ』と囁く。
「………ん」
微かに震え、何かを耐えている、泣けない不器用な大人。
「……よしよし、大丈夫だってばよ。俺はここに居るってば」
「……何その根拠の無い発言」
「良いんだってばよ!俺が言いたいの!」
「………あっそ」
頭を撫でられながら、そのまま動かないでいる。暫くそうしていたのだが、フワッと身体が浮いた。
「……帰ろってばよ」
「……ん、ナルトの手料理楽しみにしてる。デザートもね」
落ち着いたカカシがナルトにキスを落としながら歩き出す。
「デザート?カカシ先生甘い物苦手だろ?」
「ーーーー。」
「ーーーっ////」
ポツリと耳元で囁かれた言葉に、かぁっと赤くなるナルトを後目にニコニコとしているカカシ。
『デザートはナルト…』
キュッとしがみつきながら、カカシをチラリと盗み見ると小さくため息を溢した。
(やっぱりいつものカカシ先生の方が良いってばよ)