NARUTO「カカナル」novel

□Christmasの遅刻魔
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カカシと入れ替わりに風呂を使って、ほくほくと温まったナルトがバスルームから出てくると、カカシがはい、と待っていた様に冷蔵庫で冷えていた麦茶を出してくれた。

二人で、テレビの前に座って、カカシはビールのプルタブを引き上げる。

見るともなしにテレビをつけて、ふう、と麦茶を味わっていると、目の前のテーブルに肘を着くようにして缶ビールを傾けていたカカシが、そっとナルトの方を見つめていた。

「………どうしたんだってばよ?」

ナルトの尋ねる声に、カカシは缶をこつん、と置くとじっとナルトを見て。迷うように確かめるように口を開いた。

「ナルトは…クリスマスは、どうしたいの?」

「どうっていうか……」

ナルトとしては、彼女連れの様にどこかに連れて行かれたり、とかそんな事をされたくないだけで。

それなら、何か作ろうかな、とナルトは思う。

何か、カカシの好きなものを。

ナルトがそう口に出す前に、カカシが口を開いた。

「ナルトがよければ、どこかで夕飯でも、と思ってたんだけど」

そしてカカシは、息を呑んで、でもと何か言おうとするナルトを制して。

それはね、と言葉を続けた。

「それは家にいると、いつもナルトに家の事を色々してもらってるから……」

こんな時には、いつもありがとうって意味で、外で夕飯を、と思ったんだけど、どうかなあ?

カカシは、少しだけナルトの事を覗き込むようにして、ナルトの表情を気遣うようにして、ゆったりと微笑んで言った。

その、微笑みに。穏やかで、暖かなカカシの微笑みに。

ナルトは、自分の中の小さなこだわりが、少しほどけていくのを感じている。

相手が、カカシが自分よりも14歳も年上で、自分に比べて大人なのだ、とナルトが感じるのはこんな時だ。

自分を暖かく包む様な。いつでもそっと手を差し伸べて、ナルトをより良いところへ導こうとする、カカシの情をナルトは感じている。

だから、ナルトも、そうだってばね、と頷いている。

ナルトは、微かに頬を染めて。うん、と頷いている。



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