NARUTO「カカスレナル」novel
□護衛任務
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ナルトが暗部に入ってから、これまでに無い程の厳しい任務が舞い込んできた。
「……と言う訳での、今年はアカデミーに『うちはサスケ』『奈良シカマル』『油女シノ』『山中いの』『日向ヒナタ』『春野サクラ』『犬塚キバ』『秋道チョウジ』といった名家の子供達が一斉に入学してくる。まだ力を持たぬ子供達を守る為ナルトよ、お主がアカデミーに入り護衛してくれぬかの」
「…………それは、俺に表の世界に出ろと言う事か?」
いつになく厳しい表情をしたナルトが火影へ視線を向ける。
「…そうじゃ。ナルトよ、最初は辛いかもしれぬ。だが、子供とは言え仲間は良いものじゃ…。暗部の闇の世界でのみ生きる事は止めて、表の世界で火影を目指してみんか?四代目もそれを望んでおろう…」
チラリと四代目の写真に目線を送るヒルゼンはどこか懐かしそうな目をしている。
「でも…」
「やってみん事には何も変わるまい。わしはなナルト、お主に表の世界に出て火影になってほしいと思っておる。」
「…………わかった。あまり気は進まないが、護衛任務として引き受ける」
「そうかっ!任務としてでも何でも良い!同じ世代の仲間を作れ」
ナルトが引き受けたのが嬉しいのか、ヒルゼンは嬉しそうに笑って『頼むぞ』と言ってきた。
「了解……」
これから数年に渡り護衛任務をする事になったナルトはその事をカカシに説明するべく、死の森の自宅へと帰ってきた。
「カカシ?」
ところが、帰ってみるとカカシは任務に出掛ける支度をしていた。
「あ…ナルト…」
なんだかカカシも元気が無い…。
「任務か?」
「うん…それも長期…」
「長期……」
実はカカシは、暗部としての狼と上忍としての、はたけカカシとの両方で長期任務を言い渡されていた。
「ナルトに会えない毎日なんて寂し過ぎて死んじゃうよ〜(涙)」
「カカシ実はな…名家の子供達の護衛任務を兼ねて俺も正式にアカデミーに入る事になった…。じぃちゃんが表の世界に出ろって…」
ナルトの表情は冴えない…だが長期任務に出掛けるカカシに心配をかけまいと、気丈に振る舞う。
「まぁ、アカデミーでは落ちこぼれを演じるつもりだ。力が有ると分かると後々面倒だからな。暫くは子供の相手だから楽な任務だろう。俺の事は気にせず任務に行ってこい」
「ナルト…無理はしないでね?」
気丈に振る舞うナルトを心配に思う。けれど、自分は長期任務に出掛けなければならない。もどかしさから力加減を忘れナルトを抱き締める。
「カ…カシ苦しい…」
「絶対に無理はダメだからね」
「わかった、わかったから力を緩めてくれっ」
ふっと力を抜いてナルトを見つめる。
「俺もなるべく、早く任務終わらせて帰ってくるからっ!」
「カカシこそ無理はするんじゃないぞ。無事に戻ってくれば、それで構わない」
「ん。」
その日は2人、いつになくゆっくり過ごした。火影も気を利かせてくれたのか、召集も無かった。
翌朝、カカシは後ろ髪を引かれる思いで長期任務へと出掛けて行った。
「いってきます。ナルト」
「行ってこい。俺は此処でお前の帰りを待ってるからな」
「ん。ナルトも無理はしないでね?」
「わかっている。」
そうしてカカシは任務へと出掛けて行ったのだった。
「………はぁ、ガキの相手か…ま、長期任務のカカシに比べれば、楽なのかもしれないが…気が重いな」
火影の気持ちは嬉しいが、やっぱり気が重いナルトだった。
「悩んでても仕方ないか。カカシが抜けた暗部の編成考え直さないといけないな」
カカシが居なくてもやる事は山の様にあるのだ。自分もアカデミーでの護衛任務で昼間は動けない、他の暗部に迷惑を掛ける訳にはいかないので、それも編成し直さなければ…と色々思案をしながら、これからの日々を考えるのだった。