NARUTO「カカスレナル」novel2
□ストーカー
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「───はい。本日の任務も無事終了〜」
何とも気の抜ける声で任務の終了を告げるのは第7班の担当上忍のカカシだ。
「つ、疲れた…ι」
「………ι」
「こ、腰が痛いってばよ…」
本日の任務は初夏に相応しく伸びに伸びまくっている大名の屋敷内の草刈りだった。どんな方法を使っても構わないけど期日は夕方だから頑張って終わらせてねvVと、2時間遅刻してきた上忍に言われた時は、サクラとサスケは無言の殺気を向けた。
しかし、そこは腐っても上忍。下忍の殺気などものともしない。
「じゃ、頑張ってねvV」と言い残しカカシは木の根元でイチャパラを開いた。
その光景を溜め息を吐き出して見た3人は、それぞれ作業に付き何とか期日までに終わらせたのだった。
「んじゃ、また明日8時ね〜。遅刻しない様にネvV」
「「お前がだ!「ってばよ!」」
「…………(怒)」
見事にハモったサクラとナルトの声と、無言の圧力をかけているサスケに苦笑いをすると、カカシは煙と共に消えるのだった。カカシの消えた先を見ていたサクラはため息を1つ吐き出すとナルトに向き直った。
「ナルト、これからまた行くの?」
「………まぁ」
「……無理はすんな」
「サンキュ……」
そう、第7班は少し特殊だったのだ。サスケとサクラは下忍なのだが、ナルトは何と暗部の総隊長を務めている。カカシに至っても副総隊長の任を担っている暗部。だが、ナルトの生い立ちの事情で今まで素性を隠していた。
しかし、ある任務でサクラとサスケがピンチに陥った時、ナルトは本来の力を出し2人を助け正体がバレてしまったのだ。
だが、2人はそれを受け入れた。ナルトはナルトだと。そして、今現在に至っている。
7班の任務は今まで通りドベの仮面を被り、その任務が終了すればナルトは素を出していた。それは3人の約束事。ナルトに少しでも負担が無い様にとサスケとサクラが申し出た事だった。
そして、カカシもそれを了承し、ナルトを守っていると正体を2人に明かしていた。
「カカシも行くのか?」
まだ、人気がある通りの為に『任務に』とは言わない。
「まぁ…」
「カカシ先生にも無理は禁物だって言っておいてね?」
カカシもナルトも昼は下忍の任務。夜は暗部と二足のわらじ状態。無理はするなと釘を刺されてしまった。
「ありがと……っ!?」
2人の言葉に苦笑いを溢し了承をしたナルトだったのだが、不意に言葉を切ると後ろを振り返った。
「どうしたの?」
急に立ち止まり辺りを仕切りに気にしているナルトにサクラが訝しげに声をかけた。
(今、確かに視線を感じたんだが…気のせいか?だが、何にしろ2人に危害が出る前に消えるか…)
素の自分を隠すドベのナルトの雰囲気を出すとサクラとサスケに向かって笑った。
「何でも無いってばよ!それじゃあ、またね!」
そう言ってナルトはバイバイと手を振り帰ってしまったのだった。
「どうかしたのかしら?」
「さぁ…」
ナルトの様子は少しおかしい様な気もしたのだが、下忍の2人には先ほどの微かな視線には気が付く事は無かった。