NARUTO「カカスレナル」novel3

□強盗事件
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ここは木の葉のメインストリート。ナルトとカカシは鷹と狼の姿で仲良く久し振りのデートへと繰り出していた。

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……悲鳴なんてものには慣れたくなどないが、その願いは無駄なものだとわかっている。

だってもう慣れちゃったし。

「さっさと金を出せ!!」

ああ、何でこんな事に、とカカシは右斜め前方でカカシと同じく両手を上げているナルトを見つめた。そのナルトはカカシの視線に気付く様子もなく、全身を黒で包んだ男達をじっと探るように見つめている。
どうせ見つめるなら、あんなむっさい黒ずくめの男たちよりもすぐ傍にいるカッコイイ恋人にしてくれればいいのに、とまるで緊張感のない思考が巡ったが、すぐに馬鹿馬鹿しいとその考えを放棄した。今のナルトはきっと、カカシのことなど頭の隅にもないに違いない。

カカシのポケットに収まっている財布の中の映画チケット。普段表に出たがらない恋人を鷹の姿なら大丈夫だとか…必死にあの手この手で懐柔し、綱手から半ば強引に2人の休みをもぎ取り、実現にこぎつけた久々のデートを満喫していたのに。
喫茶店で美味しいコーヒーとケーキに舌鼓を打ち、ご機嫌だった。この後は話題の新作映画を観る予定だった。そして、映画を見た後は街中をぶらぶらした後、こっそりと予約していた宿に行くつもりだったのに。
『ちょっとお金を下ろしたいから銀行に寄りたい』と言ったナルトに付き合って銀行に足を踏み入れたのが運の尽き。『銀行強盗があったりして』とナルトのトラブル吸引体質をからかった直後に現れた黒服の男たちに、感じたのは恐怖でも焦りでもなく、呆れと諦めと、デートを邪魔したことへのちょっぴりの怒り。
これではせっかくの計画もぱぁだな、と逃れられない運命にカカシも乾いた笑いが浮かぶのを止められなかった。
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