NARUTO「カカスレナル」novel3

□強盗事件
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「…何笑ってる」

おや、とカカシは器用に片眉を上げた。
こちらにはまるで関心は向いていないと思っていたが、意外にもカケラでも意識は一緒にいた恋人に残っていたらしい。珍しいことだ。

「別に〜?」

ごまかそうと薄く笑ってみるが、余計にキツイ目付きで睨まれて肩を竦めた。
冷めた目付きは不機嫌の現れだろう。そして、その不機嫌は楽しいところを邪魔された事実に加えて、邪魔をしたのが一目でわかるド三流だったから。
威嚇に一本放ち壁に刺さった事からクナイは本物だとわかっているが、不慣れなその様子からクナイを扱ったことは少ないのだろう一般人だと知れた。職員に指示を出し客を脅す態度は尊大にしようとはしているが、どこか落ち着かず、カカシやナルトにとってはいまいち迫力に欠ける。
一流の強盗犯を望む訳ではないが、相手がこうも素人では不謹慎だが現場の独特の緊張感は欠片もない。これでは巻き込まれ損だ。
カカシの読みはそんなところで、実際そう外れてはいない。楽しみを邪魔されたあげくになんの対価もない現実に、隣に居るナルトもうんざりしていた。

ナルトはちらりと横に視線を流し、あいつらがこいつなら、とどこか退屈そうな緊張感のない顔しているカカシを見て思う。もしも敵がカカシなら…修行の一環としてだが、作戦を練り緊迫した攻防を繰り広げられるのに、と心の中で言い訳してみる。
それはつい先刻カカシが望んだことに似ていたが、それを知ってカカシが喜ぶかどうかは微妙なところだ。
小憎らしく笑っている相手に伝える気は、ナルトには毛頭なかったけれど。
半眼で睨まれている当のカカシは、なんとものほほんと、諦めの篭ったため息を零した。
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