SWEET NOVEL
□愛の成分 PART 2
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恋愛のプレゼンなんて、その気になれば簡単なモノだった。
ほろ酔い気分で、肩にもたれかかる。潤んだ瞳で、顔を見上げる。
ほんのそれだけ。
男なんて、みんな単純だ。
何も、スリルを味わいたかった訳じゃない。
男心を玩びたかった訳でもない。
出会ったばかりの男と来てしまった安っぽいホテルの一室で、沙恵は、男という生き物自体を卑下したい、そんな気分になっていた。
何故ここに来たのかは、きっと自分も、目の前の男も、解っていないのだろう。
否、解ってしまっても、いけないだろう。
ここに必要なのは、嘘だけだ。
幻の世界に、酔いたかったのかもしれない。
京一と一緒にいることで生まれてくる淋しさを、埋めたかったんだろう。
ーきっと、夢なんだ・・・。ー
醒めないように、目の前にある胸に沙恵はそっと顔を埋めた。
裸の胸から、重ねた手から、不規則な鼓動が伝わってくる。
重なった視線から、唇から、脆い嘘だけが零れ落ちていく。
罪悪感と現実が、追っかけっこしてる。私の脳裏で。
揺らされながら、現実逃避を試みる。
叫びながら、堕ちてみる。
仰け反って、ぎゅっと目を瞑る。
瞼の裏に、京一の淋しそうな顔が浮かんでいた。