SWEET NOVEL
□エゴの使い方G
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汗ばんだ背中に、シーツがベッタリと張り付いている。
早朝の冷たい陽射しが窓から差し込み、外では鳩が呑気に鳴いていた。"俺は、平和の象徴だ"とばかりに。
人間の感情をまるきり無視して、いつも通り訪れた朝の風景とは裏腹に、悪い幻から醒めたような二人の感情は、どこか悲しく横たわっていた。
指先も、舌先も、心には触れられないまま、ただ快楽だけを貪るようなセックスに溺れた後、別れ話とも、思い出話とも呼べぬ言葉を交わしていたのは、つい先程の事だ。