SWEET NOVEL

□エゴの使い方E
1ページ/7ページ

マンションの駐車場に車を停め、エレベーターに乗り、廊下を歩く。

殆ど話し声の聞こえない静かな建物内に反響する、コツコツという靴音が、残酷な現実に自分だけ置き去りにされたようで、京一は憂鬱になった。

仕事は、何とか普段通りこなせた。私情を仕事に挟むほど、俺も子供じゃない。
陽平にも、昨晩の事は何も話さなかった。
話せば、真剣に聞いてくれたかもしれない。
でも、わざわざ話す事でもないように思えたし、
「これから結婚しようとしてる奴には解らないだろう」
という、一種の諦めのような気持ちがあったのも事実だ。

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ