【シリウスside】
「エバンズ、ちょっといいか?」
最近、弥守がおかしい。
いや…、“おかしい”って言うか元気がない。
エバンズと話しててもどこかボーっとしてるし、昨日の魔法薬学の時なんか、珍しく失敗してスラグホーンに大丈夫かと心配される始末だ。
ここは不本意だが、エバンズに聞いてみるしかないな。
そう思って話しかけたのがついさっき。
「なに?なんの用?」
俺が話しかけたせいか、嫌そうに顔を歪めてこちらを睨んでる。
「用が無いならーー」
逃げられたらマズイ。さっさと本題に入ることにした。
「弥守の奴、変じゃないか?」
「……ブラック、あなたもしかして、あの子の事が好きなんじゃないでしょうね?」
弥守の事を聞こうとしただけでなんでそうなる!
「は?何でそんなことーー」
「だって、あなたが女の子の事を気にかけてる処なんて、今まで一度もなかったもの!」
鋭い。
確かに今まで、女の事なんか気にした事なんかない。
それは、今まで付き合った女も例外じゃない。
気にかけるどころか、今じゃ名前すらろくに覚えてない。
さすが、ジェームズが選んだだけはあるーーと、感心してる場合じゃなかった。
「俺の事はどうでもいいんだよ。
それで…、弥守の様子どうなんだよ?」