黒犬と黒姫


□手紙に記された真実
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夢と頭痛に悩まされるようになって数日、私は栄次さんと鶴さんの二人にホグワーツに入って初めての手紙を出した。
内容は、ホグワーツでの事や友達の事、そしてーー最近、頭痛と夢(知らないはずの記憶)に悩まされていることを書いた。


「はぁ…。なにやってるんだろ私」


あんな事を書いたら二人に心配をかけちゃう。そうと分かっていたけど、何故か書かないといけない気がして、気付いた時には手紙を書いて梟に託した後だった。


「…出しちゃったもんは仕方ない!諦めよう」




それから数日後…




栄次さんから届いた返事には、信じられない事が書いてあった。


―――――――――――
紫苑へ


手紙をありがとう。
ホグワーツでの生活は慣れない事で大変な様だね。
けど、友人と共に楽しんで毎日を送っている様で私達は安心したよ。

さて、話は変わるが、私から紫苑に話しておかなければいけない事がある。
本当は夏休みに戻った時にでもと思ったのだが、どうやら記憶が戻り始めている様だから話しておこう。
紫苑、お前は元々この世界の人間なのだよ。
詳しくは、冬休みに戻っておいで。
その時にあらためて話そう。
それまでこの事は心の片隅に置いて、友人と生活を楽しみなさい。

それでは元気で。

栄次
―――――――――――


「…嘘」


有り得ないーーそう思った。
でも、私がこの世界の人間なら、夢に視る出来事や彼のことを懐かしいと感じた理由もわかる。


「私が…この世界の人間?」


じゃあ、今までいたあの世界は?
お父さん、お母さんは?


「わからない…、わからないよ」



分からない事だらけで混乱した紫苑は、まるで考える事を拒否する様に眠りに落ちた。

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