黒犬と黒姫
□大切な子
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【スネイプside】
『セブ、大きくなったら一緒にホグワーツに入ろうね』
僕にそう言ってくれた大切な子は、ある日突然居なくなった。
母さん曰わく、“両親と遠くに行った”そうだ。
幼かった僕は、“もう、会えない”その事実を受け入れられず、ただひたすら彼女を探した。
でも、彼女は見つからなかった…。
そうして、成長していくうちに知ったーー彼女がこの世界の何処にもいないことを。
それからは、彼女の事を忘れるため必死だった。
何をしても彼女の事を思い出す、そんな辛い日々が続いた。
そうして、漸く忘れた頃“彼女”は現れた。
『今年からホグワーツの2年生に加わる、弥守紫苑じゃ』
校長の紹介に僕は驚いた。
そして、校長の隣に現れた彼女に更に驚かされた。
居なくなったはずの彼女がそこにはいた。
『初めまして、弥守紫苑です』
あの頃と変わらない声。
ああ、僕の大切な彼女が帰ってきた。
その事実が何より嬉しかった。
だから、彼女がグリフィンドールに選ばれた時、自然と受け入れられた。
奴らと同じ寮だと思い出すまではーー。