黒犬と黒姫


□杖
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オリバンダー杖店を出た後、私とリリーはフローリシュ・アンド・ブロッツ書店に入った。


「え〜っと…」


リリーと別れて本を探していると、前を見ていなかったのが悪かったのか、歩いてきていた人にぶつかってしまった。


「悪い!」


降ってきた声に顔を上げると、灰色の瞳と目が合った。


「え、あ…私の方こそごめんなさい」


私が慌ててそう言うと、「…いや、別に」そう言って目を逸らす。


「………」


「………」


こういう時どうしたら…誰か助けて〜!
そんな私の願いが通じたのか、後ろの方からリリーの呼ぶ声が聞こえてきた。


「リリー…。
本当にごめんなさい!友達が呼んでるので失礼します!」


そう言うと、私はこれ幸いとその場を逃げ出した。
後ろから何か聞こえたけど、そんな事より逃げる方が先。
あんな空気の中になんて、何時までも居られない!


その後、慌てて現れた私にリリーが驚いたのは言うまでもない。




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