黒犬と黒姫
□杖
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それから更に1時間ーー
「これは、桜の木に不死鳥の目、28cm」
いい加減見つかって!そう一心に願って私は杖を振った。
それと同時に、暖かな金色の光が私を包む。
「やったわ、紫苑!」
「えっ?」
リリーの言った意味が分からず、目の前の亭主を見ると、驚いた顔をしている亭主と目が合った。
「まさか、と思いましたが…あなたはヤカミの…」
「…弥守紫苑と言います」
私がそう言うと、これでもかと言うほど目を見開く亭主。
そんな亭主を見て私とリリーは首を傾げるしかなく、元に戻った亭主にどうしたのか聞いたけど、結局何も答えてもらえなかった。