イナズマ青春記
□第35話 そしてそれから
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「表彰式?」
「そうそう!日にちが決まったんだ!」
「へー!で、いつ?」
「明日!」
「いきなり過ぎるわ」
明日ってなんだよと思いつつツッコミを入れる。他何人かが呆れてるけど、大半は騒いでいる。
全てが終わってからまだこれで3日目。財前総理も忙しいんだろうけど。
ちなみに現在雷門中グラウンド。やはり動かないでいるのは、この面子には無理らしい。
明々後日は合宿やろうってことになってるし、結構盛り沢山だ。
女子は女子で出かけることになってるけど、あたしやりな、かなは男子の方に混ざる予定だ。
……リカいるし、色々と根掘り葉掘り聞かれるのは嫌だからね。
「染岡たちは検査があるから出らんないんだよなあ……」
「残念だけど、仕方ないよ」
そういいつつも、しょんぼりした表情を浮かべる吹雪。せっかく染岡とサッカー出来ると思ってたのにね。……にやけるかなは放置。
そんなかなをじっと見ていた豪炎寺が(他意はないと思いたい)、「そういえば」と口を開いた。
「かなは大丈夫なのか?」
「あー……、あたしはエイリア石に触れてた期間が一番短かったからね」
「何か誤魔化してない?」
「まっさかあ」
絶対に何か誤魔化してるな、こいつ。まあ何かしらあったみんなと違って、かなはピンピンしてたし。
というか風丸はどうなんだ。
「風丸は大丈夫なの?」
「ああ」
りなの質問に、どこか苦笑混じりの返事である。暫くは引きずるだろうな。それに比べてうちの妹は……、
「秋ちゃん春奈ちゃん夏未ちゃん!今度ケーキバイキング行こうぜ!」
ノリノリでナンパしやがってる。しかもマネージャーを。自重してると思ってたら、遂にやった。いつかはやると思ってたけど。
春奈ちゃんに関しては……鬼道が黙認しているからいいんだとは思う。かなは一応女だし。
ふとリカを見れば何かを企んでいるように見えた。死ぬなよ、一之瀬。何かあっても骨は拾ってやるから……。
***
いやだからってそんなまさか、
「ウェディングドレスって何」
「ウェディングドレスというのは結婚式で花嫁が着用するドレスで、一般的にドレスや装飾品は清純さを表すために白色を基調されている。その起源は――」
「そういうことを聞いてるんじゃないから」
「そうなのか?」と首を傾げられても何と反応しろっていうのか。あざといぞ鬼道。天然か、天然なのか。
鬼道ってさ、どこかズレてるとこあるよね。流石は御曹司とでも言いたいとこだけど、養子入りする前は普通だったのだろうか。
……うん。これから表彰されるってのに、暗くなりそうな話は止めよう。
「ダーリン!このまま結婚式あげよ!」
「えっ、えええ!?」
「まだ年齢的に無理だろう」
「そういうボケとマジレスいらねえよ!天然か!豪炎寺実は天然だったのか!」
「天然……?」
「あっ、ごめんなんでもないわ」
「何悟ってんの」
「僕はりなちゃんのウェディングドレス姿見てみたいなあ」
「はあ?」
「「表に出ろ吹雪」」
思わずかなとハモった。いやだって今のは聞き逃せないじゃないか。いや当のりなは顰めっ面してるし。おい塔子、かなを押さえつけるな。
「止めるな立向居、木暮」
「えっ、で、でも、とりあえず落ち着いて下さいゆみさん!」
「あんなのほっとけばいーじゃん」
「まあそうなんだけどね」
どこか必死な2人が可愛くて頭を撫でたら木暮には逃げられ、立向居は顔を真っ赤にしてあわあわし始めた。
立向居可愛すぎる。もうこの子お持ち帰りしていいかな。いいよね?
「ゆみ自重しろ」
「その言葉そっくりそのまま返す」
「oh……」
「何故英語。見てよかな。立向居天使」
「へ、え?」
「マネージャーちゃんたちの可愛さには負けるね」
「せめて互角と言え」
「はははは、無理」
「よろしいならば」
「よく分かんねえけど、そろそろ始まるらしいぜ!」
「あ、そうなの?」
やってる本人もよく分からない口論らしきものに、綱海が割り込んできた。……表彰、か。
経験がないわけではないけど、規模が違う。なんせあたしたちは、総理大臣から賜るのだから。
「俺たちも着替えた方がいいのか?」
「あんな堅苦しいカッコすんのかよ」
「別に着なくてもいいんじゃない?ジャージの方があたしたちらしいし」
「おっ、いいこと言うな!」
「髪型崩れるんですけど」
わしゃわしゃとかき回されたけど、不思議と嫌な気はしない。たまに思うけど、綱海って兄さんに似てる。何がって、キャラが。
キャラが(2回目)。勉強面での頭の構造は全く違うわ。こいつ中3だけど、受験勉強絶対やってないやつだ。
「いつまでやっているんだ」
「あ、わりーわりー」
「はいはい」
「よーしみんな!行くぞ!」
『おーっ!』
意気込む割りには、一番動きが固いのは円堂である。
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