イナズマ青春記

□第34話 平和な日
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「うーんっ!」



体を起こして目覚まし時計と携帯のアラーム設定を解除する。久しぶりにアラームより早く起きれた。



「6時半かあ…」



体をグッと伸ばしてベッドから降りて、窓のカーテンを開ければ、太陽光が入ってきた。

あんなアホなこと続けてたら、この光が見えなくなってたのか…。



「グッドモーニング太陽!」



はたから見たらただのバカである。道に誰もいなくてよかったよ。なら言うなという話だけど。

あたしの部屋は円堂の部屋の丁度向かい側だから、あっちの様子が見える。

カーテンが閉まってるから昨日の今日だしまだ寝てるのかと思ったけど、丁度サッと開いた。



「あ、かな!おはよう!」


「おはよ、円堂!早いね!」


「すっげえ疲れてたから、すぐ寝ちゃってさ!」


「わかるわかる!興奮してたけど、いざベッドに入ったらサクッと寝ちゃったんだよね!」


「そうなんだよな〜」



まあ死闘を繰り広げたんだし、それ程までに疲れていたという訳だが。



「その節は本当に申し訳ありませんでした」


「あはは!いいっていいって!そっちには吹雪と木暮と立向居と綱海と塔子とリカが泊まってるんだよな!」


「そうそう!リカがなかなか寝かしてくれなかったんだよー…」



地方組はあたしたちの家に泊まった。立向居はどっちに泊まるか最後まで悩んでたけど、



「うち来る?」

「は、はいっ!」



こんな感じで決定した。まさに鶴の一声である。アイツガチでゆみのこと好きだろ。

実は天然なゆみが、円堂のとこに泊まったら?とか言ったら、そうなってたんだろうな……。

ま、立向居にゆみはやらないけどな!!!一応まだ不確定だし。



「なあかな!俺せっかく早起きしたから、鉄塔広場まで行こうと思うんだけど、一緒に行こうぜ!」


「おうっ!ランニングだな!」


「ああ!ところでさ」


「何?」


「あのユニフォーム干してていいのか?」


「は?」



円堂の視線が向いてる所、つまりあたしの部屋の下のベランダを見る。

そうそう。円堂家とうちって庭隣り合ってるんだよね。で、円堂とあたしの部屋が向かい合って……え?



「なんじゃこりゃああああ!!!」



あのダークエンペラーズのユニフォームが洗って干してありました。



「な、何であのユニフォームが!?」



恥ずかしい。めちゃくちゃ恥ずかしい。だってアレさ、全国放送されたんだよ?うわ嫌だ……。

そんな黒歴史の産物を、何故に堂々と庭に干すんだよ!誰だよ今日の洗濯当番!



「あ〜っ!円堂!また後でな!」


「おう!」



パパッとジャージに着替えて階段を駆け降りる。確か今日の洗濯当番は……、わかんねー……。



「ボードボードっと……」



当番が書いてあるホワイトボードで確認。よしわかった。リビングに突撃だ!



「ゆみいいいい!!!」


「おはよう、かな」


「おはよ……じゃなくって!」



何でテレビチラチラ見ながら新聞読んでるんだよ。テレビ欄見てるわけじゃないのに……うわあああ記事になってる!



「あ、朝ごはんは当番のりながまだ起きてないから」

「いやいやいや!そーゆーことじゃないっ!」



しらばっくれるなよ!



「はあ……」

「ため息吐くな!」

「アレでしょ、ユニフォーム」

「分かってんじゃん!」

「ギャーギャー騒ぐな近所迷惑。あとあたしの言い分聞け」

「……はーい」



やっぱさ、なんだかんだ言って大好きなんだ。姉妹で、家族だから。

だから、酷いこと沢山言ったのを凄く申し訳なく思ってて、その時ことを思い出させるあのユニフォームは嫌だ。

だけど、



「あたしはさ、なんだろ………ぶちまけてくれて、正直嬉しかったよ」



ゆみからは、全く想像してなかった言葉が飛び出してきた。




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