イナズマ青春記

□第5話 雷門VS世宇子!
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フィールドに立つ選手たちも、ベンチも、驚きのあまり言葉を失う程に鮮やかだった。

まさしくあっという間の出来事で、ボールを触らせることなく、得点された。ゴッドハンドを、いとも簡単に破って。



「分かったかい。これが愚かにも君が勝とうとした相手の実力だよ」



嘲笑するアフロディを他所に、風丸、栗松、一之瀬が円堂の元へ駆け寄る。

心配そうな3人に、円堂は安心させるような声をかけてるみたいだけど、あんなのを見て大丈夫だと思えるものか。

遠目からじゃよく分からないけど、グローブが少し焦げたように見える。たった一度のシュートで。

どんだけ強力なシュートだったんだとか、傲るなとか、思うことは色々ある。……少し、怖いとも思う。

それでも、



「でも、次は止めてみせる!」



円堂が、簡単に諦めるわけがないんだ。



「よーし、みんな!今度はこっちの番だ!取られたら取り返そうぜ!」

「点を取るぞ!」


『おうッ!』



一之瀬と風丸が声をかけて、拳を突き上げる。気を取り直して、雷門のキックオフで試合再開だ。

が、世宇子イレブンはディフェンスをしないで、ポジションから動こうとしない。うーわ、めちゃくちゃナメてる。

ボールを持ち込んだ染岡が怪訝な顔をしつつも、右足を振り上げた。豪炎寺もその前方へ走り込む。



「ドラゴン!」


「トルネード!」



雷門最初の連携必殺技、ドラゴントルネード。

決して威力が低いわけではないのに、世宇子キーパーポセイドンのツナミウォールによって、あっさりと止められてしまった。

ニヤリと笑ったかと思うと、ポセイドンは豪炎寺の足元へボールを放って、シュートを打って来いと挑発してくる。

とてもムカつく。非常にムカつく。格下に見やがって。そんなんだから、足元を掬われるんだ。



「ボールを渡したのが失敗だと思い知らせてやろう」



ゴーグルのレンズを光らせて言った鬼道に、同意するように豪炎寺が頷く。鬼道が指笛を鳴らし、5体のペンギンが出現した。

うんあの……超次元に何を言っても無駄なんだろうけど、生き物呼び出すとか凄いよね。流石は帝国学園。ドラゴン?あれは知らん。



「皇帝ペンギン!」


「「2号!」」



雷門バージョンの皇帝ペンギン2号。今度はいけるかと思うも、ペンギンは弾かれ、先程と同じ様に止められてしまった。

今度は一之瀬の足元にボールを放る。円堂がゴール前から上がり、これならどうだとザ・フェニックスを放つ。

それを見たポセイドンは、ツナミウォールではなくギガントウォールでザ・フェニックスを押さえ込んだ。でかくなるとかどんな原理だよ。



「これじゃ、ウォーミングアップにもならないな」


「いやお宅のキャプテンは指1本で止めるとかなんとか言ってましたけどね!」



聞こえるように大声で言ってやったら、睨まれました。あっはっは。文句なら大口叩いたアフロディに言いやがれ。

雷門側を見ると、みんなの顔は暗い。あんなに特訓したのに必殺技が通用しないのだから、当たり前だ。



「ゴールには、近づけさせない!」

「キャプテンだけじゃない!」

「俺たちみんなで守るっす!」



風丸、少林、壁山が向かっていくものの、3人はデメテルのダッシュストームで吹き飛ばされしまった。

そのまま持ち込まれ、リフレクトバスターでゴッドハンドが破り、また世宇子に1点が入る。

その時、少林が足を押さえた。吹き飛ばされた時に、足を痛めたんだ。春奈ちゃんが手当てをしに飛び出して行く。

落ち込む少林寺を円堂が励ます。状態はかなりまずいようで、半田と交代することになった。



「無謀にも神に挑むからだ」


「なんだと!?」

「染岡!やめるんだ。わざとやったわけじゃない」



わざとじゃなくても、常に相手を見下す態度がムカつく。ので、左手の親指を下に向けた。りなに少し怒られた。

「お前の分も戦ってくる!」とポジションへ向かう半田を見送り、少林の怪我の様子を見よう……としたらゆみが既に気遣っていた。

ゆみってやっぱり実はショタコンとかロリコンなんじゃないか……いや、これ口に出したらぶっ飛ばされるな。

そうこうしているうちに土門、マックス、栗松が、またしてもダッシュストームで吹き飛ばされていた。デメテル仕事しすぎじゃね。

そしてヘラのディバインアローも防ぎきれず、3点差になってしまった。

栗松とマックスも負傷して、栗松の代わりに影野、マックスの代わりに宍戸が入る。

交代枠がどんどん減っていく。……まあ、いざという時は出たい所存ですけれどもね、




「あー、あたしたちも出たいなー」

「たち、って……一緒にしないでよ」

「じゃあゆみは出たくないの?」

「それとこれとは話が別」

「このペースだと、直に回ってきそうだよね」

「ほら、りなだってこう言ってるし」

「はいはい」



あたしが適当な扱いを受けている件について。



「君たちが出るというのかい?無謀だね」


「うるさいなあアフロディは。ていうか聞こえてたの?やだ聞き耳立てるとか趣味わるーい」


「……」


「フン!」



可哀想なものを見る目向けるの、マジでやめろ。



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