荒波少女in世界

□第2話 誕生!イナズマジャパン!!
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バスを乗り継いで中学サッカー教会に行く途中、守兄経由で響木監督から渡されたプリントを読み直す。

選抜試験はライセンス試験の時と同様に試合形式。試験時間は前半15分、ハーフタイム5分、後半15分。体力の配分が鍵になりそうだ。

相手は教会職員ではなく、同年代の実力のあるサッカープレイヤー。これは知っている選手もいるかもしれない。

そして代表候補者の力量をより正確に計る為、相手には女子プレイヤーを半数混ぜている混合チーム、と。一体誰だろう?塔子やリカあたりかな。

どれだけ点を防げるかな。あたしはディフェンダーだから、そこに重きを置いて見られる筈だ。

ライセンスの時のように、11人相手に1点取れば受かる、という訳でもない。合否に勝敗は関係ないと書かれている。

そりゃ出来るだけ取った方が評価は貰えそうだけど、あたしの脚力でゴールを抉じ開けられるのか。

下手とまでは言わずとも、ライセンスの時はそこまで強いとは思わなかった。でも、今回は同年代の実力者となるとなあ……。



「……」



緊張で体が強張る。手汗をジャージの裾で拭いて、御守り代わりに左手首に着けている、いつぞや士郎くんに貰ったブレスレットに触れた。

まあ、ブレスレットは試験の時は危ないし外しておくけど、一朗太に新しく貰ったミサンガに願掛けもした。困った時の神頼み!

守兄たちの方はどうなるだろう。キーパーで呼ばれたのは守兄と立向居だけだから、余程のミスをしない限り大丈夫……だと思いたい。

豪炎寺や鬼道も選抜されそうだ。雷門が誇るエースストライカーに、司令塔の天才ゲームメーカーなんだから。

ストライカーなら染岡もだ。努力の天才というのは、まさに染岡のことだと思う。帝国の参謀の佐久間だっている。

白恋中のエースストライカーの士郎くんに、ジェネシスのキャプテンだったヒロト。

シャドウも虎丸もフォワードだし、武方もそうだ。あと目金の弟も。フォワードは激戦区だ。

ミッドフィルダーは波乱がありそうだ。器用なマックス、元ジェミニストームのリュウジに、真・帝国だった明王ちゃん。

……大体明王ちゃんが引っ掻き回しそう。鬼道と同じチームだし、絶対揉めるだろうな。佐久間も明王ちゃんのこと嫌ってるから、少し心配だ。

ディフェンダーはどうだろう。駿足の一朗太に、パワーのある壁山、小回りの利く栗松、すばしっこい夕弥、条兄はバランス感覚が凄い。

土方もパワータイプっぽい。飛鷹ってやつの実力はどれくらいだろう。慣れてない感じがしてたし。あ、そういえば士郎くんて元はディフェンダーだ。

知らない人もいるけど、知っている人は実力がどの程度かは知ってる。誰が選ばれるか、予想出来ない。



「……って、他の人のことを考えてる場合じゃないか」



人の心配をしてる余裕があるなら、まずは自分のことを考えないと。絶対に、代表になる為に。






***


「人多い……」



サッカー教会周辺は、人がかなりいた。カメラとか持ってる人もいるけど、まさか全員、選抜試験を見に来た人たち……?



「円堂美波さんですね?」

「試験への意気込みをお願いします!」

「男子の選考試合の方はどうお思いですか?」

「えっ……え!?」



FFIってこんなに注目されてるの!?中学サッカーとはいえ、世界大会だからか……。

エイリア学園のことも関係してそうだ。サッカーで挑んできたのを、雷門が倒したことで、知名度も上がってそうだし。

ていうかこれ、どうすれば……。ウォーミングアップの時間が減る……。



「えーっと、」


「美波!」


「うわっ」



人の間から伸びてきた手に腕を掴まれて、引っ張られた。そのまま引かれるままに人混みを抜けて、教会の建物の中へ。

綺麗な青い髪に、聞き覚えのある声。女の子にしては力強い、しなやかで、鍛え上げられた腕や足。



「玲名……?」

「久しぶりだな、美波」

「ひ、久しぶり!どうしてここに?もしかして、応援に来てくれた?」

「まあ、そんなところだ」



玲名が言うには、他にも何人か来ているらしい。友達が応援しに来てくれてるんだ。俄然やる気が湧いてきた!



「それより、早く着替えて来い。話は後だ」

「そうだね。じゃあ、あとでね!」

「ああ。またあとで」



玲名と別れて、受付で書類を提出して、更衣室に走る。ロッカーにバッグを放り込んで、ジャージを脱いだ。

ブレスレットをハンカチに包んで仕舞ってから、雷門ユニフォームを着て、ハチマキを付ける。頬を叩いて気合いを入れて、準備万端!

教会内にあるフィールドに入ると、観客席はそこそこ埋まっていた。男子の方が注目されてると思ってたから、意外だ。

軽くストレッチをしてから、リフティングをして、ドリブルからシュートを何回か繰り返す。



「……落ち着かない」



視線が痛い。距離はあるのに、ひそひそ声が聞こえるように錯覚する。

少しでも落ち着こうと深呼吸をしていたら、扉が開く音が響いた。試験の相手がき……、



「え」



シンプルなユニフォームを着た11人は、全員が見覚えのある顔だ。

その真ん中には、キャプテンマークを付けて、凛とした様子でこちらを見据える青い髪の女の子。



「れ、玲名!?」


「試験の相手は私たちだ、美波」



……マジ?



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