荒波少女in世界

□第1話 集結!日本代表!!
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体育館に行くと、沢山の靴が乱雑に乱雑に並べてあって、沢山の人が来てることが分かった。

早速靴を脱ごうとする守兄を止めて、まずは靴を綺麗に並べておく。こんな適当に置いてあると、また履く時が大変だ。

一朗太に豪炎寺、鬼道や壁山と普段から見るものもあれば、見覚えのある靴もちらほらある。……もしかして、来てるってこと?

靴を脱いで守兄と体育館を覗いた時、「円堂さん!美波さん!」と、懐かしい声が聞こえた。



「「立向居!」」

「お久しぶりです、円堂さん!美波さん!」

「もしかしてお前も?」

「俺だけじゃないんです」



立向居が指差した方には、3ヶ月前まで一緒に戦った仲間たちがいた。



「木暮、綱海、吹雪!」

「久しぶり!」

「元気そうだね、キャプテン、美波ちゃん」

「今回はお前たちの方が遅かったな」

「あーっははは、思いっきり寝坊しちゃってさ」

「はは……。なんか、揃って寝坊しちゃったんだよね」



ちゃんと目覚まし時計も携帯のアラームもかけたのに、何故か止めてあったし。二度寝しちゃったのかな?

「豪炎寺だっていつもは遅い癖に」と言うと、「いつもじゃない」と切り返された。まあ、そうなんだけれども。

辺りを見渡すと、土方や、木戸川清修の武方も来ているみたいだった。三つ子なのに1人だけって。



「それに……お前は、」

「武方勝!木戸川清修!」

「そうだった!」

「トライアングルZ! ……やっぱ1人じゃ様になんねえ、みたいな」

「ああうん、そうだった。あの3兄弟の1人ね」

「な、なんなんだよそれ!」

「美波ちゃんがそんな風に言うなんて、珍しいな…」

「どうしても反りが合わない」



今はもう和解はしてるけど、何も知らずに豪炎寺の事責めやがって……。と思ってたら、豪炎寺本人から「程々にしろ」と言われた。

……根に持つの、やめよう。過ぎたことなんだからね。うん。そうしよう。善処しよう。



「ま、とにかく、あんたより豪炎寺の方が凄いんだからね!」

「いちいち突っかかるな」

「だって豪炎寺だよ!」

「おい豪炎寺、あいつお前のこと好きすぎだろ」

「は?」

「は?」

「……あまりそういうことは言わない方がいいぞ。気に障るやつがいる」

「……そうっぽいな」



それはさておき、



「土方もよく来たな」

「思いっきりサッカーできるようになったからな!」



土方の弟たちは、隣の家の人が面倒見てくれてる見てくれてるらしい。今度こそ土方ともサッカー出来るのかあ!



「円堂よお、誰も呼ばれた理由知らないんだと。お前、聞いてないか?」

「俺も何も聞いてないんだ、監督は?」

「まだ来てないんだ」



条兄曰く、誰も理由を知らない上に監督がまだ来てないとなると、大人しく待ってる方がいいんだろう。

そう思っていると、栗松が目金が変だと言った。「僕は君たちの知る目金ではない」だとか。



「どうも円堂くん。僕は目金一斗。お馴染み目金欠流の双子の弟です」

「ふ、双子の弟!?」



目金に弟いたんだ……。そして滅茶苦茶そっくり。一卵双性生児なのかな?あたしと守兄は二卵双性生児だし。

でもサッカーの実力は全然違うらしくて、マックスの持っていたボールを奪うと、バスケのゴールにシュートしてしまった。



「どうです?兄貴には無理でしょう?」

「成る程!大したシュートだ!」

「ちょ、それ目金……兄の方に失礼だよ」



まあ確かに、目金(兄)にあんな芸当は出来ない。センスが無いって訳でもないんだけどなー。



「円堂。佐久間も呼ばれてるんだ」

「あ、さっ君!直に会うのは久しぶり!」

「久しぶり。……見たとこかなりの強者揃いだ。何かでっかいことが始まりそうだな」

「ああ!」



でっかいこと、か。これだけのメンバーが集まってるんだ。物凄いことが起きるに違いない。

メンバーからして、サッカー関連なのはまず間違いない。士郎くんに夕弥、立向居、条兄、土方と、北海道から沖縄まで、日本全国から集められてるみたいだ。

イナズマキャラバンに乗っていた主要選手はみんないるのかと思ったけど、塔子やリカはいなかった。……待って、女子あたしだけじゃない?

その時、後ろから声をかけられた。守兄と一緒に振り向くと、そこには豪炎寺がいた。



「意外なやつも来てるぞ」



そう言った豪炎寺の後ろから進み出たのは、赤い髪の男の子。紫のシャツに、オレンジのジャケット。髪形は違うけど、服装に雰囲気で一発で分かった。



「やあ、円堂くん、美波ちゃん」

「「ヒロト!」」



ヒロトも呼ばれてたんだと溢すと、「連絡を貰った時は、驚いたけどね」と苦笑混じりに返された。



「――でも、雷門には君たちがいる。今度こそ君たちと本当のサッカーが出来るんじゃないかって、思ってね」



穏やかに微笑むヒロトの表情は、どこか清々しい。やっとしがらみから解放されて、基山ヒロトとしてサッカーが出来るからだろうか。

グランだった時は、どこか冷めていて、常にピリピリした感じだった。だから、こうしてまた会って、話せるのが嬉しい。



「じゃあこの前の手紙の意味ってそういう事だったんだね!」

「そうなんだ。また会えて嬉しいよ」

「……待て、手紙って何だ手紙って」

「この前届いたんだ。近々会えるって。……何で一朗太不機嫌そうなの」

「いや……、別に」



……なんだろう。あれから一郎太がよく分からない。所謂嫉妬ってやつなのかなあ。



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