荒波少女

□第39話 友情の究極奥義!
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「もらうよ!『水龍』」

風「!」

「条兄ぃ!」


綱「おうっ」



点を取られたからか、隙がちらほらと見え始めた。ドリブルであがる一郎太からボールを奪って、条兄ぃにパスを回す。


前線の方には、既に士郎君と豪炎寺が上がっている。



綱「いけえ!」


「「『クロスファイア』!」」



再び放たれたシュートは、またもやゴールを破った。2−2、これで同点に追いついた!



円「やったぜ!」


「やったね!士郎君!豪炎寺!」


吹「うん!」


豪「ああ!」



ハイタッチをかわす。あと1点。あと1点取れば、勝ち越せるんだ!



風「こんな…筈がっ…!」



同点に追い付いたあたし達を見つめ、一朗太が体を震わせる。染岡達も、こちらを凝視していた。


そんな彼らに、もっと能力を見せ付けてやれ、と研崎が発破をかけると、またエイリア石が発光した。



風「…そうだ、俺達の力はこんなものじゃない」


「一朗太…」


風「…美波、見せてやるよ、俺達の力を……」


「…」



次、攻めて来る。前の面影なんて欠片もないその表情に、身構えた。袖で流れる汗を拭って、しっかりと見据える。



「絶対に、勝つんだ…!」



そう、呟いた。






風「俺達は最強の力を手に入れた。見せてやる、最強の必殺シュートを!染岡!マックス!」


「「おう!」」



『分身ディフェンス』で守兄ぃからボールを奪った一郎太と、染岡、マックスがあがっていく。


そして同時にボールを蹴り上げ、紫の不死鳥が現れた。



「「「『ダークフェニックス』!」」」



今までのと比べると、桁違いなパワーを感じる。『ザ・フェニックス』とは違う、禍々しいオーラを纏った不死鳥。


鳥肌がたって、冷や汗が止まらない。恐怖しか感じない。これが、ダークエンペラーズ最強のシュート…!



円「止めろ!立向居!」


立「『ムゲン・ザ・ハンド』!くっ………」


風「無駄だ」


立「ぐあああっ!」


「立向居っ!」



無情にも『ムゲン・ザ・ハンド』は打ち砕かれて、ダークエンペラーズが勝ち越ししてしまった。



立「すみま、せん…」

「…いいんだ、あたし達もフォロー出来なかったし…」


風「どうだ円堂。俺達は、誰にも負けない!」


円「くっ」


「そんなことない!あたしたちだって、絶対に負けない!」


風「…まだ足掻くんだな。そんなに傷だらけで」


「まだやれる。……勝ちたいから!」


風「……そうか」



僅かながらに、一朗太の瞳が熱を帯びているように見えた。






そこからはダークエンペラーズの猛攻だった。




「「「『トリプルブースト』!」」」


鬼「これ以上の得点を許すな!守り抜くんだ!」


土「おう!」


「いくぞ!」



3人同時にシュートに向かって足を打ちつける。痛い。けど、踏ん張って、なんとか蹴り返すことが出来た。



「ぐっ…」

円「美波!鬼道!土門!」

鬼「…大丈夫だ」

土「心配すんなって」

「これくらい、なんともないよ!」



そう言ってなんとか気を持ち直すけど、足はかなり痛い。


それからも、『レボリューションV』で塔子と夕弥が、


『ダークトルネード』で条兄ぃが、


『トリプルブースト』で士郎君が、フィールドに叩きつけられた。


凄まじいシュートに皆ボロボロになっていく。立ってるのがやっとなくらいだ。


皆が次々に倒れていく中無理矢理立ち上がった時、今度は『ダークトルネード』を止めようとした一之瀬が、吹っ飛ばされた。



「一之瀬っ!ぃ、いたっ…」


リ「もう見てられへん!ウチが出る!ダーリン!」


一「来るなリカ!俺達なら大丈夫だ!来るな!」


「そうだよ、まだ、戦える!」


リ「ダーリン…美波…。がんばりいや!」


「ああ!」



まだ、戦える。もう、仲間が傷つくところなんか見たくないから。勝って、もう誰もエイリア石で傷つかないようにするんだ。


大切な仲間達と、ただひたすらにボールを追いかける日々を、取り戻すんだ。



絶対に……絶対に……!










(本当に、出来るの?)



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