荒波少女

□第39話 友情の究極奥義!
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点差は2点。流れは完全にダークエンペラーズにあって、あたし達は翻弄されるがままだ。


突破口も見つからずに、時間だけが刻々と過ぎていく。


ボールは一朗太から、前線に上がってきていた半田とマックスへ渡った。



マ「見ろ円堂!」

半「これが俺達の真の力だ!」


「「『レボリューションV』!」」



また強力な必殺技が来る。これ以上、点を取らせてたまるか!



「『水龍』!ぐあっ」



破られたけど、止められるなんて思ってない。威力を少しでも落とせれば、それだけ立向居の負担が減る。



立「『ムゲン・ザ・ハンド』!ぐうっ、なんてパワーだ…うわっ!」


「立向居っ!」



破られてしまったけれど、間一髪のところで守兄ぃがクリアした。



円「大丈夫か?」

立「はい。ちょっと痺れただけです」

円「そうか…。ゴールは頼んだぞ」

立「はい!」



全く追い付けない訳じゃない。けれど、スピードもパワーも、ダークエンペラーズはあたし達を上回っていた。


一朗太にボールを奪われて、また攻められると身構えたけど、ここでホイッスルが鳴って前半が終わった。






円「ダメだ。どう攻めても止められてしまう…」

春「完全にこっちの動きを読まれていますね…」

秋「円堂君とずっと一緒にサッカーやってきたんだもの。皆の癖や弱点を知り尽くしてるのも、当然よね…」



またその逆も然りだけど、なんだろう…追いつくので必死で、それどころじゃない。


焦ったら空回りして、余計に上手くいかなくなるのに…。



響「それを逆手に取ればいい」

円「監督?」

響「お前達が動けばアイツらも動く。それを繰り返すんだ。切り札は綱海だ」

綱「え、俺?」

響「ああ。お前のことをアイツらも読みきれないだろう」

綱「…そりゃそうだ。誰も俺のこと知らねーもんな」



確かに、条兄ぃは最後に加わった。それから離脱したメンバーは、ダークエンペラーズにはいないんだから。



鬼「アイツらを動かせば必ずどこかにスペースが空く。そこが狙いだ。フィールドに波のようなリズムを作り出すんだ。」

綱「波のリズムか…。面白ぇ!波が引いた時がチャンスって訳だ!任せろ!俺に乗れねえ波はねえ!」

円「よし、皆!なんとしても勝つぞ!エイリア石の力なんかいらないって事を見せるんだ!」






意気込んだのはいいものの、突破口となるであろうリズムは、なかなか見つからない。


守ってばかりで、後半に入ってから、雷門陣内でのプレイが多くなっている。



風「どうした!攻めることも出来ないのか!」


円「行かせるもんか!」



抜こうとしたのをなんとか食い止める。食らいつく。



円「絶対、通さない!この試合、絶対に、勝ってみせるっ!」

風「っ、邪魔だあああっ!」

円「うわっ!」


綱「円堂!」

塔「円堂っ!」

「守兄ぃ!」


吹「キャプテン!」

円「っ、大丈夫だ」



ボールをぶつけられて吹っ飛んだ守兄ぃを、士郎君が起こした。


なんて酷いラフプレーなんだ。こんなの、雷門の、一郎太のサッカーじゃないよ…。



綱「てめえ!何すんだ!お前ら仲間だったんじゃねえのかよ!


円堂をボールで吹っ飛ばして、美波を傷つけて、なんとも思わねえのか!そんなにエイリア石が大事なのか!」


風「お前に何が分かる!」



怒りを露にした条兄ぃが怒鳴る。その言葉に激昂した一朗太が、今度は条兄ぃにボールを打ち込んだ。


倒れ込んだ条兄ぃを睨み付ける一郎太に対して、士郎君が冷静な口調で言った。



吹「いや、僕達だからこそ分かる」


風「何!?」


木「俺、このチームが好きだ!」


風「っ、」


塔「そして、心からサッカーを愛する円堂が好きだ!あんた達と同じなんだ!」


吹「キャプテン達に出会えたから、今の僕があるんだ!」


風「っ………!」



試合が始まってから、一朗太が初めて動揺を見せた。その一瞬の隙を、逃さない。



「「「『パーフェクトタワー』!」」」



弾いたボールをトラップして、即座に周りを見る。ディフェンスがばらけていて、ゴールまでの一本道が見えた。



綱「よっしゃあ!波が引いたぜ!」


「行っけえ条兄ぃ!」



あたしが蹴り出したボールは、カットされることなく条兄ぃに通った。



綱「『ツナミブースト』!でえりゃあああ!」


杉「『ダブルロケット』!」



超ロングシュートは弾かれたけど、それだけじゃ終わらない。弾かれたボールをすかさず士郎君が拾って、シュート体勢に入った。



吹「『ウルフレジェンド』ッ!!!」



狼の遠吠えにも似たシュートは、見事にゴールを抉じ開けて、1点差に追いつくことが出来た。




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