荒波少女

□第37話 終わりなき脅威!
2ページ/6ページ

吉「隕石の落下…それがエイリア石。エイリア石の分析を始めた私達は、すぐにその恐るべきエナジーに気がついた。


そして、私はエイリア石の魅力にとりつかれていった。その素晴らしい力に。


しかし同時に、それまで心の奥底に押し殺していた復讐心が、再び込み上げてきた」



それに反発した瞳子監督は、吉良さんを止める為に今まで動いてきたのだった。



吉「私は、愚かだった…」

グ「父さん…」

豪「…美波も、この事を全て知っていたのか?」

「…ううん。この事は初めて知った」

グ「知っていた…?そういえば、ウルビダの名前を…」

ウ「貴様まだ…」

グ「え…?」



ギリ、と鋭い目付きで玲名がヒロトを睨み付ける。対するヒロトは、心当たりがないと言いたげに、困惑していた。


…ま、忘れてるんだし仕方ないか。戦いも終わったんだし、サッカープレイヤーとして、また一から、関係を築いていけばいい。



「じゃあ改めて自己紹介しよっかな。円堂美波です。…久しぶりだね、ヒロ君」

グ「!、その呼び方……まさか、あの時の…!?……そう、だったんだ…」

「うん…。嬉しいな、思い出してくれて」


円「思い出さなくても良かったけどな」

塔「おいおい、いいじゃんか…」

吹「ふふっ。……僕もキャプテンに同意かな」

土「吹雪…」



…なんか、守兄ぃのいる方から不穏な空気が漂ってきているような。



グ「…何で、忘れてたんだろう」

「いーっていーって!またこうして会えたんだしさ!ね?」

グ「美波ちゃん…」

「だから、っ!?」



その時、物凄い爆音と共に地面が揺れた。エイリア石の装置を止めた時とじゃ比べ物にならないくらいの揺れ。


しかも1回じゃない。何回も揺れてて、上からバラバラと瓦礫が落ちてくる。


瓦礫を避けてバランスを崩して転びかけた時、ヒロトに腕を掴まれて、引き寄せられた。



グ「大丈夫?」

「うん。ありがとう、ヒロト」



守兄ぃの絶叫が聞こえたような気がしなくもないけど……気にしないでおこう。


それよりも、だ。次第に数が増していく瓦礫に、冷たい汗が流れる。今すぐ本能が逃げろと叫んでいる。


でも、落ちてきた瓦礫で出口は塞がれてしまった。



「どうしよう…」

吹「!、何か音が聞こえるよ!」

「ほんとだ!」



音の方を見れば、キャラバンが凄いスピードで突っ込んできた。



古「皆!早く乗るんだ!」


円「古株さん!」



皆が大急ぎでキャラバンに乗り込む。全員乗ったか確認しようと振り向けば、吉良さんは座ったままだった。



グ「父さん!」

「っ、吉良さん!」


円「ヒロト!美波!」



弾かれたように駆け出したヒロトの背中を追って、吉良さんの元へ駆け寄る。何で、逃げようとしないの…?



グ「父さん、逃げるんだ!早く!」



ヒロトがそう手を手を差し伸べるも、吉良さんはゆるく首を振るだけだった。



吉「私は、ここでエイリア石の最後を見届ける。それが、お前たちに対するせめてもの償いだ」

「そんな…」

円「何バカなこと言ってんだ!こんな所で死んでどうするんだ!そんな事してヒロト達が喜ぶわけ無いだろ!


まだ分からないのか!皆にはあんたが必要なんだよ!」



言葉を失ったあたしとヒロトの代わりに、守兄ぃが怒鳴り声を上げた。あたしも、息を吸い込む。



「そうだよ!こんな償い方なんてないよ!またヒロトや玲名達を苦しめるだけだ!だから、ここで死のうなんて思わないで!」

吉「……!」

グ「…行こう、父さん」

吉「こんな酷い事をした私を…ヒロト、お前は許してくれるというのか…」



ヒロトは目尻に涙を浮かべながら、微笑んで頷いた。あたしも涙をグッと堪えて立ち上がる。


瓦礫を避けながら、キャラバンに乗り込んだ。


通路を猛スピードでキャラバンが駆け抜ける。後ろを見ると、どんどん崩れていっていた。


また爆発音が聞こえた。それにしても、何でこんな爆発が…?



一「ダメだ!追いつかれる!」

秋「!、出口よ!」

「間に合えっ…!」



小さな外の光が見えて、それがみるみる内に大きくなっていく。キャラバンが大きく跳ねて、飛び出した。


その次の瞬間、後方で一番大きな爆発音が聞こえた。


窓から様子を見ると、黒い煙を上げながら崩れ落ちていく星の使徒研究所が見えた。




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ