荒波少女

□第35話 最終決戦!ザ・ジェネシス・前編!!
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グランが跳躍したのを見るやいなや、塔子と壁山がゴール前に立った。



グ「『流星ブレード』!」


塔「『ザ・タワー』!」

壁「『ザ・ウォール』!」


立「『ムゲン・ザ・ハンド』!」



ダブルディフェンスも『ムゲン・ザ・ハンド』も破られてしまったけど、条兄ぃがボールを弾いて点にはならなかった。



円「いいぞ!綱海!」


綱「おう!ちょっとカッコ悪いけどな!」

立「すみません…。俺が止めなきゃいけないのに…」

綱「気にすんな!」

土「それより、どうしたら奴のシュートを止められるか考えろ!」



シュートはなんとか弾いたけど、完全にジェネシスに翻弄されていた。


パスやシュートはなんとかカットやブロックするけど、思うように攻める事が出来ない。


このままじゃ、ワンサイドゲームになっちゃう…。



「…前線で待ってる訳にはいかない。行こう!」

豪「…ああ!」



豪炎寺と一緒に戻って、ディフェンスに加わる。


あたし達がディフェンスに加わる事でみんなの負担は減ったけど、その代わりに攻められなくなる。


ギリギリのところで、ゴールを守るのが精一杯だ。


再び放たれたグランの『流星ブレード』を何とか防いぎ、ボールがラインを割ったその時、ベンチのしろ君が立ち上がった



『!』


「しろ君…」


吹「監督!僕を試合に出して下さい!僕はみんなの役に立ちたいんです!」

瞳「…選手交代!一之瀬一哉に代わって、吹雪士郎!」


円「吹雪…!?」


瞳「一之瀬君、下がって。円堂さんは一之瀬君のポジションへ」


一「!、はい!」

「一之瀬…」

一「後は頼んだよ、美波」

「…おうっ!」



しろ君を見れば、靴紐を結び直していた。立ち上がったしろ君の表情は、決意に満ち溢れている。


恐怖を振り切るように、1歩グラウンドに踏み出した。



吹「(僕はこの試合で完璧になる。皆の為にも、ならなくちゃならないんだ!)」

「しろ君…」

吹「…僕、頑張るよ。絶対に、完璧に…!」

円「吹雪…。いいんだな」



守兄ぃの問いかけにしろ君は頷いた。そんなしろ君の両肩に、守兄ぃは手を置いた。



円「頼んだぜ、吹雪。よし、吹雪にボールを回すぞ!」

「大丈夫かな…」

円「大丈夫さ、アイツなら。吹雪は自分で決めてグラウンドへ戻ってきた。俺達に出来る事は、アイツにボールを繋げる事だ!」



…そうだ。しろ君は今、自分の意思でこのグラウンドに立っている。だからあたし達は、全力でサポートしなきゃ。



ピーッ!



ウルビダのコーナーキックで試合再開。グランがヘディングでゴール端を狙うけど、守兄ぃが弾く。


跳ね返ったボールはウィーズの所へ飛んだけど、それを見た豪炎寺が跳躍した。



豪「『ファイアトルネード』!」



ゴール前からの超ロングシュート。でもそこにしろ君が走りこむ。



角「これはシュートではない!吹雪へのパスだ!」



髪の毛が跳ね上がって、目つきが鋭くなる。…久しぶりにアツヤが出てきたんだ。



吹「吹き荒れろ!『エターナルブリザード』!」


ネ「『プロキオンネット』!」



『エターナルブリザード』でさえも、ネロに止められてしまった。アツヤは動揺してるけど、そんな暇はない。


ボールはグランに渡ってる。構えていたら、前線からアツヤ…しろ君が戻ってきた。



吹「『アイスグランド』!っうわ!」


「しろ君!」



氷は砕け散って、倒れこんだしろ君をグランが一瞥する。しろ君の方のディフェンスが、こんな簡単に破られるなんて…。



吹「僕のプレーが全然通用しない…。完璧にならなきゃいけないのに!」



そうこうしてる間に、グランは守兄ぃと壁山を抜き去った。



「くそ…行かせるもんか!『水龍』!」


グ「!、………甘いよ」


「う、わっ!」



前より確実にパワーアップしてる筈の『水龍』が…破られた。どうして…?



グ「君の力はこんなものかい?」


「っ……」



擦れ違いざまに、そう言われた。





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