荒波少女

□第35話 最終決戦!ザ・ジェネシス・前編!!
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倒れこんだ立向居を、条兄ぃが起こしている。…福岡の時と比べると、威力が格段に上がっていた。


これがジェネシスの……エイリア石の力なの?



一「何て奴らだ…。本当に俺達と同じ人間なのか?」

「…人間だよ。確かに、あたし達と同じね…」



あたし達と同じ、サッカーが大好きな人間だ。



円「ヒロト!お前達のサッカーは間違ってる!本当の力は、努力して身に付けるものなんだ!」

「っ、そうだよ!エイリア石なんかで強くなっても…!」


グ「果たしてそうかな。我らジェネシスこそ、最強なのだ」



背を向けて、グランは戻っていく。リュウジに助けてあげてって言われたし、あたしだってまた楽しいサッカーがしたい。


けど、あんな強力なシュートを止められる?あたしの実力で…。



円「言葉で分からないなら、プレーで伝えるしかない…!」

「守兄ぃ…」



…そうだ、まだまだ試合は始まったばかり。諦めちゃダメなんだ。勝たないと、ヒロトの為にも、



「しろ君の為にも…」



振り向けば、立向居が手を見つめて震えていた。皆も俯いている。



立「『ムゲン・ザ・ハンド』が破られた…。パワーアップした筈なのに…!」


木「パワーが違い過ぎる…!」


鬼「マズイ…。究極奥義が破られた事で、皆動揺している…」


「最初から諦めちゃダメだよ!まだまだ試合はこれから!頑張ろう!」


綱「でもよお…」


瞳「顔を上げなさい!」


『!』



凛とした声が響く。ベンチを見れば瞳子監督が立ち上がって、凛とした意思の強い目があたし達を見ていた。



瞳「今日までの特訓を思い出して!貴方達は強くなっている!諦めず、立ち止まらず、1歩1歩積み重ねてここまで来た!


自分を信じなさい!そうすれば、貴方達は勝てる!私は、信じているわ!」



そうだよ。最初はセカンドランクだったジェミニストームにでさえ歯が立たなくて、勝てなかった。


けど、特訓して特訓して特訓して、イプシロンを倒して、ダイヤモンドダストと引き分けた。


そして今は、ジェネシスと戦えるくらいの実力になったんだ。あたし達は確実に、強くなってるんだ!



円「監督の言う通りだ!皆!絶対勝つぞ!」


『おーっ!』


「(……それにしても、)」



ヒロト――グランは「果たしてそうかな」と返した。守兄ぃの本当の努力して身に付けるもの、というのを否定しているのだと思った。


けど、何かが引っ掛かる。……なんだろう、この違和感。



鬼「集中しろ、美波」


「う、うん」



ピーッ



角「先取点を奪われた雷門!意気消沈するどころか、勢いよく攻め上がる!」


「立向居!」


立「美波さん…」


「立向居は守兄ぃの代わりなんかじゃない!君は、立向居勇気なんだ!」


立「!」



立向居は自分を守兄ぃの代わりだって思ってるみたいだけど、それは違う。


例え似ていたとしても、同じ人間なんて存在しないんだから。しろ君と、アツヤのように。



豪「『爆熱ストーム』!」



ボールを持った豪炎寺が、ゴールとは逆方向へのシュートを放つ。一見可笑しくみえるかもしれないけど、そんなことはない。あれは、



グ「何っ!?」


「守兄ぃへのパスだ!」


豪「行け!円堂!」


円「『メガトンヘッド』!」


ネ「『プロキオンネット』!」



『爆熱ストーム』に『メガトンヘッド』のパワーが乗せられたシュート。それでも、ゴールは破れなかった。



鬼「グランに渡すな!」


「分かった!」



鬼道の指示は早かった。確かに、あんなシュートをまた打たれたらひとたまりもない。



グ「いいのか?俺にマークを集中させて」

円「俺は皆を信じている!」

グ「信じられるのは自分の力だけ。俺達ジェネシスは、個人個人が最強を目指す」


ウ「グランだけだと思うな!」


「『荒』…、くそっ!」

木「速すぎる!」



あたしも夕弥も、必殺技を出す間もなく抜かれてしまった。


ウルビダがパスを出した先には、守兄ぃと鬼道を振り切り、ボールに向かって跳躍した、



鬼「しまった!」



グランがいた。





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