荒波少女

□第34話 エイリア学園の正体!
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息を大きく吸って、吐く。無機質な鋼鉄で出来た建造物へ歩き出そうとしら、皆を呼び止める声が聞こえた。


振り返るとそこには響木監督が立っていた。驚くのと同時に、何でここに、というかいつの間に来たのかと首を傾げる。


しろ君に誰か教えてる立向居を見ながら考える。疑問は色々あるけど、ここまで来てどうしたんだろう。



響「俺はこれまでエイリア学園の謎を探っていた。そして、やっと答えに辿り着いた。エイリア学園の黒幕は――お前だ!」


『えーっ!!!』


「……は?」



響木監督が指を指した先には、呆然としている瞳子監督がいた。皆が驚きの声を上げて、その目がまた疑念の色に変わった。


…ちょっと待ってよ、何でそうなるの。意味が分からない。黒幕は監督じゃなくて…、



「監督の…」

豪「どうかしたか」

「え、あ、いや、なんでもない…」

円「瞳子監督がエイリア学園の黒幕って、どういうことなんですか!響木監督!」


響「それは彼女が自ら明らかにするべきだろう。円堂達をジェネシスと戦わせるのならば、全てを話す責任がある」


「…」



全てを話す責任。それはきっと、あたしにもあるものだ。皆の視線が、一瞬だけあたしに集中した。



瞳「全ては……あの中にあるわ」



その言葉に促されるように、キャラバンに乗り込む。


一際大きい扉の前まで行くと、瞳子監督が携帯のボタンをいくつか押す。すると、扉が音を立てて開き始めた。


承認コードを知っていたことから、皆の中で瞳子監督がエイリア学園と何らかの繋がりがあることが確信に変わったと思う。


人気のない静かな通路を、キャラバンは進んで行く。



目「誰もいませんね…」

綱「エイリア学園っていうから、宇宙人の生徒がいっぱいいるのかと思ったぜ」

リ「どんな生徒や」

「宇宙人、なあ…」



宇宙人なんか最初からいなかったんだ。いたのは、普通のあたし達と同じ人間の子供。


戦おうなんて考えないで、最初から止めようとすればよかった。そうすれば、皆傷つかずに済んだかもしれない。


止めようとしたところで、それを聞き入れてくれるとは到底思えないけれど。



「(情けないな)」



ここまで来て後悔するなんて、もう遅い。ただ偽善だってことくらい、最初から分かってたのに。



ぼんやりと考えてたら、キャラバンが止まった。何だろう、ここ。ホール?



鬼「いつまで座っているつもりだ」

「…え、あ、あれ?」


春「美波せんぱーい!もうみんな降りちゃいましたよ!」


鬼「ということだ」

「ああ…ごめんごめん」

鬼「何か考えていたのか」

「え、いや」

鬼「大方俺達に今まで黙っていたことのことだろうが」

「…何で分かんの」

鬼「美波は分かりやすいからな」

「へーへー…」



ゴーグル越しに赤い瞳と目が合った。流石は司令塔、よく見てらっしゃる。



鬼「…監督。ここは一体何のために施設なんですか?」

瞳「吉良財閥の、兵器研究施設よ」

鬼「吉良財閥?」

壁「吉良って…監督の名字も吉良ッスよね?」

瞳「私の父の名は吉良星二郎。吉良財閥の総帥よ」

響「自らの作り出した兵器で、世界を支配しようと企んでいる男だ」



世界を支配って…。あの優しそうな笑みを浮かべていた人が、そんなことを…。



土「何か、とんでもないことに巻き込まれてないか、俺達…」

鬼「兵器研究施設がジェネシスのホームグラウンド…」

夏「エイリア学園はただの宇宙人じゃない、監督はそう言いましたね?」

瞳「ええ」

夏「兵器開発とエイリア学園…一体どんな関係があるんですか?」

瞳「全ては…エイリア石から始まったの」

円「エイリア石?」



エイリアというと、その石がこの戦いの原因って事だろうか。皆で首を傾げてたら、突然扉が開いた。


その先には、パッと見警備ロボットと形容出来そうなロボットがいた。足元にはボール。…嫌な予感しかしない。



「うわああああっ!」



案の定鋭いシュートが飛んできて、一旦脇の通路に隠れることになった。




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