荒波少女
□第32話 炸裂!ファイアブリザード!!
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円「皆!気合入れていくぞ!」
皆を鼓舞する言葉を聞きながら、パンッと頬を軽く叩いた。ミスしないようにしないと。
鬼「気合いを入れるなら、もっと強くやったらどうだ?」
「ひほー、いひゃい」
あたしのポジションディフェンスなのに、わざわざつねりに来なくても。
バ「少々奴らのことを侮ってみたみたいだな」
ガ「だが、私達が組めば負ける筈はない」
鬼道に頬をつままれていると、そんな会話が耳に入ってきた。視線を向けると2人もこっちを見てたようで、目が合った。
「(負けるもんか)」
ホイッスルが鳴り響く音を聞きながら、そう思った。後半、開始。ガゼルからボールを受け取ったネッパーが攻めてくる。
ポジショニング的にリオーネに回すかと思ってたら、ヒートへパスが出た。予測はしてたらしい塔子が、すかさずカットする。
…成る程、こういうことか。これを見抜くなんて、流石は天才ゲームメーカーだ。
「塔子こっち!」
塔「分かった!美波っ!」
「っと!」
塔子からのパスをトラップして前線を見ると、アフロディが走り込んで来ていた。…よし、
「アフロディ!」
力いっぱいボールを蹴り出す。宙を舞ったボールは、しっかりとアフロディが受け取った。
よかった。ちゃんといつものプレーを出来てることに、ほっと息を吐きながら、シュート体勢に入ったアフロディを見つめた。
ア「『ゴッドノウズ』!」
シュートは見事に『バーンアウト』を破って、追加点を決めた。
円「ナイス!アフロディ!」
「ナイッシュー!」
ア「ちゃんと出来たじゃないか」
「はは…心配かけてごめん」
流れは確実に雷門に来てる。カオスのペースが乱れている今が、点を取るチャンスだ。
アフロディが奪ったボールが、あたしに回ってきた。
ガ「行かせない!」
「…ガゼル」
ガ「相手が美波だとしても、手を抜くことはない」
「…トーゼン、分かってるよ!あたしだって負けないから!」
エイリアとか、世界の命運を背負ってるとか関係なしに勝ちたい。皆で。
「『マリンアクセル』!」
ガ「!」
「豪炎寺!」
豪「『爆熱ストーム』!」
3点目。試合の流れは、完全に雷門側に傾いた。立て続けに『ツナミブースト』、『ゴッドノウズ』、『デスゾーン2』が決まる。
まさしく怒涛の追い上げだ。点差は縮まっていって、カオスの背中が見えてきた。
カオスのチームワークは相変わらずだし、元ダイヤモンドダストの選手も、元プロミネンスの選手にパスを出そうとしない。
ガ「まさか…こいつら…」
ガゼルの呟きが聞こえた。…やっぱ気づくよなあ、ここまであからさまだと。
円「『メガトンヘッド!』」
ついに7ー10。3点差まで追い付かれたことからか、カオスに険悪な雰囲気が漂う。バーンとガゼルを見れば、苛立ったような表情をしていた。
バ「コイツら…何をやってるんだ!」
ガ「どうやら教えてやる必要がありそうだな…、この試合の意味を!」
バ「おお!」
さて、どう手を打ってくる?
試合が動き出すと、バーンとガゼルはパスを出さずに2人だけで攻めてきた。そう、2人だけで。
豪炎寺も、アフロディも、鬼道も、塔子も、あっという間に抜かれた。それはあたしもで、2人に追い付けない。
ガ「皆見ていろ、私達の姿を!」
バ「この試合にかける俺達の思いを!」
ガ「バーン!」
バ「ガゼル!」
タイミングを合わせるかのように、互いの名を呼んだ。
ガ「これが我らカオスの力!」
バ「宇宙最強チームの力だ!」
バ・ガ「『ファイアブリザード』!!!」
バーンの炎のガゼルの氷が合わさった必殺技。綺麗だな、だなんて一瞬考えたけど、それどころじゃない。
立「『ムゲン・ザ・ハンド』!っ、うわ!」
また点差が開いて、流れが変わってしまったんだから。それにしても、あの2人が必殺技かあ…。カオスの人達も驚いてるし。
今までのプレーを悔いるように、互いに声をかけあってくる。究極奥義に完成無し、だけど、ますます手強くなりそうだ。
円「よーし!気合入れ直していくぞ!」
綱「まずは4点取ってこうぜ!」
『おう!』
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