荒波少女

□第32話 炸裂!ファイアブリザード!!
2ページ/5ページ

円「皆!気合入れていくぞ!」



皆を鼓舞する言葉を聞きながら、パンッと頬を軽く叩いた。ミスしないようにしないと。



鬼「気合いを入れるなら、もっと強くやったらどうだ?」

「ひほー、いひゃい」



あたしのポジションディフェンスなのに、わざわざつねりに来なくても。



バ「少々奴らのことを侮ってみたみたいだな」

ガ「だが、私達が組めば負ける筈はない」



鬼道に頬をつままれていると、そんな会話が耳に入ってきた。視線を向けると2人もこっちを見てたようで、目が合った。



「(負けるもんか)」



ホイッスルが鳴り響く音を聞きながら、そう思った。後半、開始。ガゼルからボールを受け取ったネッパーが攻めてくる。


ポジショニング的にリオーネに回すかと思ってたら、ヒートへパスが出た。予測はしてたらしい塔子が、すかさずカットする。


…成る程、こういうことか。これを見抜くなんて、流石は天才ゲームメーカーだ。



「塔子こっち!」


塔「分かった!美波っ!」


「っと!」



塔子からのパスをトラップして前線を見ると、アフロディが走り込んで来ていた。…よし、



「アフロディ!」



力いっぱいボールを蹴り出す。宙を舞ったボールは、しっかりとアフロディが受け取った。


よかった。ちゃんといつものプレーを出来てることに、ほっと息を吐きながら、シュート体勢に入ったアフロディを見つめた。



ア「『ゴッドノウズ』!」



シュートは見事に『バーンアウト』を破って、追加点を決めた。



円「ナイス!アフロディ!」


「ナイッシュー!」

ア「ちゃんと出来たじゃないか」

「はは…心配かけてごめん」



流れは確実に雷門に来てる。カオスのペースが乱れている今が、点を取るチャンスだ。


アフロディが奪ったボールが、あたしに回ってきた。



ガ「行かせない!」


「…ガゼル」


ガ「相手が美波だとしても、手を抜くことはない」


「…トーゼン、分かってるよ!あたしだって負けないから!」



エイリアとか、世界の命運を背負ってるとか関係なしに勝ちたい。皆で。



「『マリンアクセル』!」


ガ「!」


「豪炎寺!」


豪「『爆熱ストーム』!」



3点目。試合の流れは、完全に雷門側に傾いた。立て続けに『ツナミブースト』、『ゴッドノウズ』、『デスゾーン2』が決まる。


まさしく怒涛の追い上げだ。点差は縮まっていって、カオスの背中が見えてきた。


カオスのチームワークは相変わらずだし、元ダイヤモンドダストの選手も、元プロミネンスの選手にパスを出そうとしない。



ガ「まさか…こいつら…」



ガゼルの呟きが聞こえた。…やっぱ気づくよなあ、ここまであからさまだと。



円「『メガトンヘッド!』」



ついに7ー10。3点差まで追い付かれたことからか、カオスに険悪な雰囲気が漂う。バーンとガゼルを見れば、苛立ったような表情をしていた。



バ「コイツら…何をやってるんだ!」

ガ「どうやら教えてやる必要がありそうだな…、この試合の意味を!」

バ「おお!」



さて、どう手を打ってくる?






試合が動き出すと、バーンとガゼルはパスを出さずに2人だけで攻めてきた。そう、2人だけで。


豪炎寺も、アフロディも、鬼道も、塔子も、あっという間に抜かれた。それはあたしもで、2人に追い付けない。



ガ「皆見ていろ、私達の姿を!」

バ「この試合にかける俺達の思いを!」

ガ「バーン!」

バ「ガゼル!」



タイミングを合わせるかのように、互いの名を呼んだ。



ガ「これが我らカオスの力!」

バ「宇宙最強チームの力だ!」


バ・ガ「『ファイアブリザード』!!!」



バーンの炎のガゼルの氷が合わさった必殺技。綺麗だな、だなんて一瞬考えたけど、それどころじゃない。



立「『ムゲン・ザ・ハンド』!っ、うわ!」



また点差が開いて、流れが変わってしまったんだから。それにしても、あの2人が必殺技かあ…。カオスの人達も驚いてるし。


今までのプレーを悔いるように、互いに声をかけあってくる。究極奥義に完成無し、だけど、ますます手強くなりそうだ。



円「よーし!気合入れ直していくぞ!」

綱「まずは4点取ってこうぜ!」


『おう!』





次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ