荒波少女

□第31話 奇跡のチーム!ザ・カオス!!
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円「今日も気合入れていくぞ!」



次の日。守兄ぃの掛け声で気合を入れて、鬼道が今日の課題を言い渡した。


守兄ぃ、鬼道、土門は『デスゾーン2』の強化、立向居は条兄ぃと『ムゲン・ザ・ハンド』の完成。


残りは攻撃の要になる豪炎寺とアフロディを中心に、フォーメーションの確認をする。


カオスとの試合は明日だから、今日は課題を絞って練習するらしい。




ア「円堂君、ちょっといいかな」

円「どうしたんだ?アフロディ」

ア「…昨日、美波が風丸君に会ってきたようなんだ」

円「風丸に!?」

ア「しっ…あくまで予想だからね。少し様子がおかしかったから、不安なんだ」

円「だから今日は元気無さそうだったし、あんま寝てなさそうだったんだ…」

ア「…え、そうなのかい?」

円「ああ。いつもは朝起きたらまず着替えてから髪の毛を結ぶのに今日はその逆だったし、いつもより寝癖凄くないし、朝ごはんおかわりしなかったし、地面蹴る仕草多いしそれから…」

ア「わ、分かった!分かったから!」



このままだと止まらないと、アフロディは慌てて止めた。ていうか何で着替えのこととか知っているんだ彼は。



円「まあ、何かあったら俺がなんとかする!」

ア「頼んだよ」



そしてアフロディが感じた不安は、奇しくも的中することになった。



塔「豪炎寺!」


豪「アフロディ!」


ア「『ゴッドノウズ』!」



パスワークの確認をしながら、攻めの練習をする。豪炎寺が戻ってきてアフロディが加わったから、流れがいい。


…混合チームのカオス。一体、どれ程の実力のチームなんだろう…。



一「美波!」


「!、う、わっ」



トラップミスした。一之瀬が謝ってきたけど、これは完全にあたしのミスだ。今は考え事をする時間じゃないのに。



「ごめん、一之瀬。もう一度お願い」

一「分かった。いくよ!」



もう一度、一之瀬からのパスが回ってくる。今度は気を抜いてないし、大丈夫。なのに、


ぽんっ



『!』

「あ、れ…?」



ボールは足に弾かれてしまって、地面に転がった。



一「大丈夫か?」

木「お前そんな下手くそじゃなかっただろ」

壁「美波さんらしくないッス」

「あはは、ごめんごめん。注意力散漫になってたみたい」



変だなあ。自分では集中してるつもりだったし、ミスするにしろもっとこう…なんというか、やっぱり変だ。



そこからはミスの連発だった。


トラップミス、パスミス、ドリブルもあっさりと止められるし、得意なディフェンスも上手くいかない。


挙げ句の果てにはシュートで盛大に空振り…。上手くいかないにも程がある。



リ「円堂ー!美波の様子がおかしいねん」

「ちょ、リカ!」

円「何かあったのか?」

ア「さっきからミスの連続でね。…無意識のうちに何かを気にしているようだった」

円「!、そうか………。分かった!」



アフロディに小声で何か言われたらしい守兄ぃは、びしっとしろ君の方を指差した。何で?



円「今日は美波は練習無し!あそこで見てろ!」

「えっ…ええ!?ちょっと待ってよ!カオス戦は明日なのに、練習無しって!」

円「ダメだ」

「何で!」

円「美波は気づいてないみたいだけど、今日の美波は変だぞ」

「………」



あたし達は双子。だからお互いのことは誰よりも理解してるし、自分以上に相手が自分のことを分かってる時もあった。


だから、守兄ぃが本気であたしのことを心配してることも分かる。



円「昨日行きたい所があるって言ってたよな」

「それは…」

円「今は言わなくていい。言いたくなったからに言えばいいから」

「…何でも分かっちゃうんだね、守兄ぃは」

円「美波のお兄ちゃんだからな!」



そう言って見せてくれたいつも通りの笑顔に、安心感を感じた。




「はー…」

吹「練習しないの?」

「練習するなって言われちゃってね」

吹「沢山ミスしてたからね」

「しろ君毒舌だね…」

吹「…でも、僕は練習すら出来ない。ボールが、怖い…」

「…」

吹「アツヤもいる。美波ちゃんもいる。なのに…どうすれば完璧になれるんだ…」



そう呟くしろ君の目が、少し怖い。完璧になるということに縋りついてて、何も見てないっていうか…。



「そうだ。気分転換しない?」

吹「え?」

「守兄ぃー!ちょっとしろ君と気分転換がてら散歩して来る!」


円「!?、それって2人っきりの…は…!?」


「行こ!しろ君!」

吹「う、うん」


円「美波##NAME4##………」

土「おーい円堂ー…ダメだなこりゃ」

鬼「はあ…」




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