荒波少女

□第30話 対決!円堂VS豪炎寺!!
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そんなこんなで練習をし続けて、『デスゾーン』の方で鬼道からおまけの合格が出た。


そんな時、足音が聞こえて音の方向を見てみたら、



佐「やってるな、鬼道」


鬼「来てくれたか、佐久間!源田!みんな!」

円「お前達!鬼道、みんなも呼んでたのか?」

佐「ああ、久しぶりだな」



佐久間に源田と、帝国イレブンのみんながやってきた。本当に会うのは久しぶりだ。佐久間と源田は真・帝国で会ったけど…。


みんなユニフォームを着てる中佐久間だけ帝国の制服で、松葉杖が痛々しい。


鬼道を一瞥すれば顔をしかめていたけど、佐久間は苦笑いしながら「心配するな」と声をかけた。



佐「これでも順調に回復してるんだ」

源「雷門の監督が紹介してくれた最新治療が、よく効いているみたいだ」

円「瞳子監督が?そうか…よかったな、鬼道」

鬼「ああ」

「治ったらまたサッカーやろうね!」

佐「もちろんだ。俺の方が酷かったから、まだ少し先だけどな」



…そっか。源田は『ビーストファング』を1回しか使ってないけど、佐久間は…。


思わず俯いたら、気にするなと頭を掻き回された。顔を上げれば佐久間はアフロディを見ていた。



佐「…話は鬼道から聞いた。お前も俺達と同じように、影山に利用されていただけだ。


鬼道や円堂達を、よろしく頼む」

ア「…!」



少し驚いた表情をしたアフロディが、静かに頷く。よかった、一触即発とかそんな雰囲気にならなくて。



佐「さあ鬼道。始めようか、練習試合」

円「練習試合?」



鬼道を見れば、また意味ありげな笑みを向けてきた。






夏「どうして円堂君達が帝国側に?」

佐「『デスゾーン』は帝国が開発した必殺技。習得には実際に俺達帝国とプレイした方がいいって、鬼道がね」

秋「言われてみれば…」

春「けど…なんか変な感じ…」

「だよなあ…」



フィールドを見れば、守兄ぃ、鬼道、土門が帝国のユニフォームを着て立っている。


似合わなくはないけど、守兄ぃが帝国のユニフォームとかちょっと違和感だ。



佐「何不貞腐れてんだよ、美波」

「や、だって試合出たかったんだもん…」

佐「もんって…」

「何がおかしいんだよ!」



悪い悪いと謝られたけど、顔が笑ってる。というか笑ってるのを隠そうともしてないじゃん。



「なんなんだよもー…」



まあそんなことより試合だ。これは『デスゾーン』だけでなく、『ムゲン・ザ・ハンド』の実践練習でもある。


『ムゲン・ザ・ハンド』はまだ掴めてないみたいだけど、大丈夫かな…。


そんなことを考えてたら、寺門からのキックオフで練習試合が始まった。辺見からボールは鬼道に回る。



一「鬼道!君とやりやってみたいと思ってたんだ!」



そう言った一之瀬が鬼道からボールを奪おうと向かっていくけど、対する鬼道は余裕そうにフッと笑った。


次の瞬間、上がってきていた胴面にパスを出して、一之瀬を抜いた。しかもパスを出すとき、後ろを見てなかった。



「す、凄い…。鬼道には動きが全部分かってるんだ」

佐「ずっと一緒にプレーしてきたからな。理屈とかそういうのじゃなくて、体が覚えてる」

「それだけ沢山練習したんだね。雷門に転校した今でも、繋がってるチームメイト、か…」



そう言ったら、佐久間は誇らしげに、そして照れ臭そうに笑った。



鬼「行くぞ!円堂!土門!『デスゾーン』開始!」


円・鬼・土「『デスゾーン』!」


「出た…」



回転をかけながら跳躍した3人が、同時にボールへ蹴り込んだ。


タイミングはピッタリで上手くいったように見えたんだけど、だんだんと威力をなくしてしまった。


立向居も目を閉じたまま止められたけど、行き詰まってるようだった。



土「今のタイミング、完璧だったよな」

鬼「ああ。今までで一番息が合っていた」

土「なのに何故出せなかったんだ?」

鬼「…俺にも分からない」

円「面白いな。鬼道にも分からない『デスゾーン』か。ますます完成させたくなってきた!


絶対完成させようぜ!」

鬼「円堂…」



何度も何度も『デスゾーン』と『ムゲン・ザ・ハンド』をやってみるけど、なかなか成功しない。


『ムゲン・ザ・ハンド』はともかく、『デスゾーン』はあとちょっとって感じなのに…。



鬼「もっとタイミングを合わせろ!」


立「これでもない…!」



「…どんな感じなの?」

佐「回転は十分だし、タイミングも合っている…。何が足りないのか、俺にも…」



自身も『デスゾーン』を打っていて勝手が分かってる佐久間にも、何が足りないのか分からないなんて…。こっちも苦戦しそうだ。




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