荒波少女
□第30話 対決!円堂VS豪炎寺!!
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鍵は帝国学園にあると言った鬼道は既に監督に話を通してあったらしく、帝国学園に行くことになった。
久しぶりに見た帝国学園はどっしりと構えていて、相変わらず要塞を連想させる。
円「帝国学園…」
壁「あまりいい思い出がないッス…」
「ちょ、壁山!」
壁山が呟いたのが気になって声をかけたら、慌てて鬼道に謝り始めた。鬼道が元いた学校な訳だし…。
当の鬼道は「気にするな」と言って、前を見据えて歩き出す。あたし達も顔を見合わせて、それを追った。
誰もいなくてがらんとした廊下を通って、着いたのはグラウンド。鬼道はあたし達の方に向き直って言い放った。
鬼「円堂、土門。『デスゾーン』をやるぞ」
『デスゾーン』、つまりは帝国の連携技。復唱した土門が、首を傾げながら問いかけた。
土「でも、円堂のじいちゃんの裏ノートに書かれてる技を方がいいんじゃねえか?」
鬼「『デスゾーン』だ」
円「…やろうぜ!土門!」
土「円堂…」
円「鬼道には何か考えがあるんだよ!」
土「成る程な…。じゃなきゃわざわざ帝国まで来る訳ないか。よし、乗った!」
「土門をメンバーに入れたのは、もしかして帝国出身だから?」
鬼「まあな」
本来ディフェンダーだけどシュートにも絡む土門に、リベロの守兄ぃに、ミッドフィルダーの鬼道。
バランスとしてはいいし攻撃の幅も広がると思う。けど、言い方は悪いけど、エイリア学園に通用するのかな…。
そう思って聞いてみたら、「身につけた上でもう一段階上を目指す」と言われた。監督からも許可は得ていると。
そんなこんなで各々軽く走ったり、ストレッチしたりして準備運動をする。ふいに視界に入ったアフロディは、しろ君を見ていた。
ア「どうして彼は練習しないんだい?」
事情を知らないアフロディからしたら至極全うな疑問だけど、返答するのに言葉が詰まる。
けど、遅かれ早かれ知っておかなきゃいけないことだ。腹の探り合いなんていらない。
円「実は――」
仲間なんだから。
ア「心の中に2つの人格があるせいで、サッカーが出来なくなった?」
円「でもアイツは、残るって決めた。
サッカーが好きだから、どんなことがあってもサッカーを続けたいって思ってるんだ。
だから俺達は待つことにした。吹雪が自分の力で復活することを信じて」
「それまで負けないって、誓ったんだ」
ア「そう…」
また一緒にフィールドに立って走りたい。そう思ってるのは、皆同じだ。
深刻そうに、何かを考え込むような仕草をしたアフロディは、十中八九しろ君のことを考えているんだと思う。
少し重くなった空気を振り払うように、ぱんっと守兄ぃが手を打ち鳴らした。
円「俺と鬼道と土門は『デスゾーン』、立向居は『ムゲン・ザ・ハンド』。他の皆も、それぞれ自分のメニューで特訓だ!」
『デスゾーン』はボールを囲んで回って、合図をした時にボールが自分の正面に来るようにタイミングの練習。
『ムゲン・ザ・ハンド』は、目を閉じて音だけでシュートを止める練習で、条兄ぃがシュートを打っている。
あたし含む残りのメンバーは、パスなんかの基礎の強化。こういうのでも細かいところでミスを無くせば、かなりの強化だ。
パスをしながら『デスゾーン』の方に聞き耳をたてていたら、なかなか苦戦してるようだった。
なんでも帝国では鬼道がタイミングを指示していたけど、今回は鬼道自身も打つから難しい、か…。
いくら鬼道でも、タイミングを指示しつつ打つのは至難の技だ。守兄ぃが『デスゾーン』をやるのもこれが初めてな訳だし。
土「出来るのかな、俺達に…」
円「出来る!自分を信じ、仲間を信じ、出来るって信じれば、必ず出来る!」
「出来るって信じれば、必ず出来る…」
心の底からヒロト達とまた楽しいサッカーをしたいって願えば、また出来るかな?
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