荒波少女

□第28話 最強の助っ人アフロディ!
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ア「また会えたね、円堂君、美波」

「アフロディ…」

円「何しに来たんだ」

ア「戦うために来たのさ、…君達と」

「ええっ!」

円「っ!」

ア「君達と共に…奴らを倒す!」

円「何!?」



アフロディから出たのは、あたし達にとっては到底信じられないような言葉だった。


みんなの表情が驚きに染まる。当然あたしもだ。どうして敵だったアフロディが雷門に加勢を…?








角「なんと!あの世宇子中のアフロディが雷門イレブンに加わったァ!これは予想もしなかった展開だ!」



角馬の実況がスタジアムに響き渡る。そりゃあ誰も予想する訳がない。



ガ「世宇子中の敗北者か。人間に敗れた神に何が出来る?」


リ「ええのか?アイツに任せて」

瞳「試す価値はあるわ」

夏「監督の言う通り、決定力の不足を補うにはこれも有りね」

秋「大丈夫よ。円堂君が認めたんだもの」



ベンチからリカの訝しげな声と、それを宥める監督達の声が聞こえた。


さっきのやり取りを思い出しながら、緩んだハチマキを絞め直して気を引き締める。



―――


ア「僕は、君達の力になるためにやってきた。雷門エイリア学園の戦いは見てきた。


そして、激戦を続ける君達の姿を、湧き上がる闘志を抑えられなくなったんだ。

僕を、雷門の一員にくわえて欲しい」

一「ちょっと待ってくれ!」

土「いきなり何言ってんだ。訳分かんねえよ」



集まってきたみんなが困惑の表情を浮かべる。脳裏を過ったのはフットボールフロンティア決勝戦。


あの試合で怪我人も出てる訳だし、そう簡単には受け入れられない。引き摺っても可笑しくないくらいの事だったんだ。



ア「疑うのも無理はない。でも信じて欲しい。僕は、神のアクアに頼るようなことはもう二度としない。


僕は君達に敗れて学んだんだ。再び立ち上がることの大切さを…。人は、倒れる度に強くなれる!」



力強く言ったアフロディの言葉から、その強い意志が伝わってきた。そっか…、アフロディも変わったんだ。



円「本気なんだな」

ア「ああ」

円「わかった、その目に嘘はない」

ア「ありがとう、円堂君」



お互いに力強く握手をする。その目は真っ直ぐで、大丈夫だって自然と思った。


けどみんなは受け入れられてない。…気持ちはプレーに出る。きっとアフロディのプレーを見たら、みんなも…。


―――




円「頼むぞー!アフロディ!」


「頑張ろう!」



リオーネのフリースローで止まっていた試合が動き出す。ダイヤモンドダストが攻め上がってくる。


それを土門が『ボルケイノカット』でブロックした。前線に走っているアフロディがフリーだ。



ア「こっちだ!」



声をかけられた土門は少なからず動揺してて、その隙を突かれてボールを奪われてしまった。


再びダイヤモンドダストが攻めてくる。今度はあたしが!



「『水龍』!」


ガ「なかなかやるね、美波」


「…どうも」



近くにいた風介――ガゼルにそう言われたけど、鬼道の一之瀬に回せという指示で我に返る。



「一之瀬っ!」



ボールを受け取った一之瀬に、今度はアフロディに回せと指示が飛ぶ。



一「!、でも…」


鬼「パスするんだ!」


一「…分かった」



渋々出された一之瀬のパスは強すぎて、アフロディは追い付けずにボールはラインを割ってしまった。


タイミングが掴めてないのかな…?…ううん、違う。アフロディを信用出来ていないんだ。


でもこの試合、アフロディの力が必要になる。豪炎寺だけじゃ決定力が足りない。


豪炎寺が力不足って訳じゃない。決定力のあるフォワードが2人いる事で、攻撃や戦略の幅が広がるんだ。


だからこの噛み合ってないプレーをなんとかしないと…。


ベンチを見れば、しろ君が悔しげな表情を浮かべていた。しろ君の分まで、やらないと!




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