荒波少女
□第27話 凍てつく闇・ダイヤモンドダスト!
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豪炎寺が帰ってきた。なのに、みんなの表情はあまり明るくない。
エイリア学園マスターランクチーム、ダイヤモンドダスト。まだ他にもチームがあったんだから。
あとどれだけのチームがあるのかと不安そうだ。…あたしだけ知ってて、何かみんなに対して罪悪感が湧く。
でもまあ、言うわけにはいかない。
そんな中、その不安を振り払うように守兄ぃがボールを豪炎寺に投げた。
豪「円堂…」
円「わかってるって!お帰り!豪炎寺!」
蹴り返されたボールを受け止めた守兄ぃが、満面の笑みでそう言った。みんなも段々と笑顔になっていく。
豪「みんな…」
土「待たせやがって!」
壁「ほんとッスよ!」
豪「ありがとう。…監督!」
豪炎寺が監督に向き直って、静かになる。監督もお帰りなさい、と迎えてくれた。それに対して豪炎寺は、
豪「ありがとうございました!」
『!』
と、頭を下げた。みんな驚いてるけど、ちゃんと理由はある。豪炎寺がチームを離れたのは、エイリア学園のせいなんだ。
豪「あの時、監督が行かせてくれなかったら、俺はアイツらの仲間に引き込まれていたかもしれません」
瞳「…さあ、なんのことかしら」
円「監督…」
一「“アイツら”?」
鬼瓦「そいつは俺が説明しよう」
みんなが首を傾げていると、刑事さん…鬼瓦さんが土方と一緒に歩いてきた。
鬼瓦さんが言うには、やっぱり夕香ちゃんが人質に取られていたらしい。
エイリア学園に賛同している人が、夕香ちゃんを人質に仲間になるように脅してきたそうだ。
円「そうだったのか…。でも、一言言ってくれれば!」
鬼瓦「言えなかったんだよ。口止めされてたんだ。もし話したら妹さんがどうなるか、ってな。
だから我々は、チャンスを待つことにした。時が来るまで豪炎寺をそいつに預けてな」
円「土方?」
土方「おやっさんっときたら酷いんだぜ?人を隠すなら人の中ってさ!
まあうちは家族の1人や2人増えたくらい、どうってことないけどな!」
だから土方が鬼瓦さんと一緒にいたんだ…。あれからどうなったのか心配だったけど、大丈夫そうでよかった。
そして夕香ちゃんの身辺を探って安全を確保して、漸く豪炎寺はチームに戻ることが出来たんだ。
円「ありがとうございます!刑事さん!」
鬼瓦「礼なら土方に言ってくれ」
土方「ええっ!やめてくれよ!おやっさんとは親父の代からの付き合いだ!これくらいどうってことないさ!」
豪「いや、お前がいなかったら…お前が居たから『爆熱ストーム』を完成することを出来た。ありがとう、土方」
土方「へっ…」
「何はともあれまた一緒にサッカー出来て嬉しいよ!豪炎寺!」
豪「ああ。約束、守れたな」
「うん!凄く強くなって帰ってきた!まさか沖縄で、しかも土方のとこにいたとはなあ…」
鬼「…待て、美波は豪炎寺がチームを離れた理由を知っていたのか?」
「え」
みんなの、そうなのか?という視線が突き刺さる。まあ別に言っても問題ないよね。
「一応知ってたよ。病院で豪炎寺に会った時様子が可笑しかったから、もしかしたらって聞いてみたんだ」
塔「何で言わなかったんだよー」
「いやー、あたしの口から言っちゃいけないと思ってね。鬼道地味に痛い」
頬をつねられているという。もう慣れたけどね。何故か反対側は豪炎寺につねられて…あ、頭撫でられた。
秋「豪炎寺君。どうだった?久しぶりの雷門は」
豪「ああ…、最高だ!」
最高。その言葉に、みんなが笑った。
「よーし、みんな!サッカーやろうぜ!」
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