荒波少女

□第26話 復活の爆炎!!
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ビリビリと痺れたように、身体中が痛い。なんとか立ち上がるけど、ほぼ気力だけで保ってるようなもんだ。


シュートを止めようとする度にこうなるんじゃ、流石に持たない。でも、究極奥義は…。



デ「こんなものではない筈だ。立て、立って私を楽しませろ!」


円「俺は…あの時誓ったんだ。決して諦めないと!究極奥義で、絶対、止めてみせる!」



…そうだ。諦めたら、ヒロト達を助けられない。



デ「地球では獅子は兎を全力で狩るという。私は、どんなに弱っていたとしても、お前達を全力で倒す!」


円「止める!」


デ「『グングニル』!」



三度目の『グングニル』。それは今までで一番威力が高いものに見えた。対抗出来るのは究極奥義だけだ。


でも『正義の鉄拳』は二度も破られてしまった。どうすればいいのか。固唾を飲んで見守るしかない。


何かを考えていたらしい守兄ぃは、ハッとした表情を浮かべた。


何かを掴んだんだって反射的に思った時、




――円堂ッ!




懐かしい、アイツの声が聞こえた。



円「『正義の鉄拳』!」


デ「何!?パワーアップしただと!?」



パワーアップした『正義の鉄拳』が、あの『グングニル』を止めた。



円「これが常に進化し続ける究極奥義、『正義の鉄拳』だ!」


「そうか!」



ノートに書いてあった究極奥義が未完成っていうのは、完成しないってことじゃなかったんだ。


常に進化し続ける。だから完成しない、未完成の必殺技、究極奥義!



デ「楽しませてくれるな…。だが、技が進化しようと我らから点を取らない限り、お前に勝ち目はない」


「…そんなことない」



さっき聞こえた声。あれは間違いなくアイツの声だ。この沖縄にいて、やっと戻ってきてくれたんだ。



「そうだよね?」



ラインから出たボールを止めたフードを被ってる少年が、フィールドに入ってくる。


バサリと下ろされたフードの下から出てきたのは、見覚えのある特徴的な髪型。意思の強い、鋭い目。



お帰り。



円「豪炎寺!」


豪「待たせたな」


円「いつもお前は遅いんだよ!」


「ほんと、遅いんだから!」



いつもの頼れる笑みを見せた豪炎寺の背中を、帝国戦の時みたいにバカスカ叩く。


止めろとあしらわれるけど、随分と久しぶりな訳だし、これくらいはいいよね?



壁「豪炎寺さんが……豪炎寺さんが帰ってきたッスーーー!」



みんなが堰を切ったように豪炎寺を呼んだ。みんな、ずっと待ってたんだからね!


ベンチを見れば、少しだけ顔を上げてたしろ君が、ぼんやりとした目で豪炎寺を見つめているのが目に飛び込んできた。


…しろ君は豪炎寺の代わりなんかじゃないから、しろ君が立ち上がるまで、見てるからね。



円「監督!」


瞳「選手交代!10番、豪炎寺修也が入ります!」


立「これが豪炎寺さん…?あの迫力…存在感…!」



ユニフォームを着た豪炎寺が入ってくるのを見た立向居が、目を輝かせた。



「いっつも豪炎寺が引っ張ってくれてたんだ。だから、今日も」



きっと、勝利に導いてくれる。





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