荒波少女

□第26話 復活の爆炎!!
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角「鉄壁崩壊!なんと!完全無欠の防御を誇る『正義の鉄拳』が打ち砕かれた!」


「嘘でしょ…」



究極奥義があんな簡単に破られるなんて。もっと早く本当のポジションがフォワードだったことを思い出せていれば…!


前半終了のホイッスルが鳴って、一旦ベンチに行く。タオルで汗を拭きながら見渡せば、みんな暗い表情をしていた。


守兄ぃはノートを見ながら首を傾げてる。まだ、『正義の鉄拳』は完成してないのか…?



綱「なーに!『正義の鉄拳』が通用しねえなら、その分俺達が頑張りゃいいだけだ!だろ?」

「…うん!そうだね!あたし達ディフェンスが頑張ればいいんだ!」



条兄ぃの明るい言葉に続けてそう言って意気込む。ただ1点差をつけられているこの状況、少なくとも2点は取らなければ勝てないんだ。



鬼「チャンスがあれば積極的にシュートを狙っていこう」



少しだけしろ君に目を向けた鬼道が、立ち上がりながらそう言いう。


確かに、今キーパーをしているゼルがデザームより劣ってるとすれば、点は取れる筈だ。



鬼「必ず点を取ろう!…そして、勝とう!」



鬼道の言葉に頷いて、みんなはグラウンドへ入っていく。ベンチのしろ君は、タオルを被って下を向いたままだ。



「…しろ君」

吹「…」

「絶対に、勝ってくるから」



話してたらしい守兄ぃと立向居と一緒にグラウンドに足を踏み入れて、フォワードの位置に立つデザームに目を向けた。



デ「ここまでだ。私のお前達に対する興味は無くなった。よって今からはお前達を潰しにいく。覚悟しろよ」


「潰す…?」



その言葉の意味は、後半開始を告げるホイッスルが鳴って直ぐに分かった。


ドリブルで上がっていたリカから凄いスピードでボールを取ったデザームは、すぐさまシュート体勢をとった。



デ「『グングニル』!」


「しまっ…!」


円「『正義の鉄拳』!」



ブロックに行こうとしても間に合わない。次の瞬間『正義の鉄拳』は破られて、シュートはゴールへと突き進む。


なんとか弾かないととあたしが足を伸ばす前に、条兄ぃが滑り込んだ。


押されかけたのを右足をゴールポストに引っ掛けることで止めて、追加点を阻止することが出来た。



円「綱海…、大丈夫か?」

綱「コレくらいどうってこと…、勝とうぜ、円堂」

円「綱海…」

「ナイスファイトだよ!条兄ぃ!」

綱「ああ!この調子でいくぜ!」



デザームを見れば、ニヤリとどこか楽しげに笑っていた。


まだ後半が始まってからそんなに経ってないのに、もうこんなにも追い詰められるなんて。


あんなに簡単に攻められた。本気で、あたし達を潰す気なんだ。






デ「いくぞ!『グングニル』!」


円「『正義の鉄拳』!っ」



押し返そうと守兄ぃも踏ん張るけど、『グングニル』はまたも『正義の鉄拳』破った。



「…これ以上点差を広げる訳にはいかないんだ!」



鬼道、立向居、土門、夕弥に目配せして、シュートの前に立ち塞がる。人の壁ということだ。


簡単に吹き飛ばされてしまったけど、2点差になることはなかった。


シュートが直撃した脇腹が痛むけど、構ってなんていられない。



鬼「大丈夫か、美波」

「大丈夫では、ないけどね…」



差し出された手を掴んで、立ち上がる。



「やるしかないでしょ」





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