荒波少女
□第25話 逆襲!イプシロン改!!
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デ「お前だ。お前が打ってこい!」
そう言ったデザームが蹴ったボールは、しろ君の足元へ転がった。
鬼「気にするな吹雪!お前は自分のプレイをすればいいんだ!」
吹「わかってる。始めからそのつもりさ!」
ギッとデザームを睨み付けてドリブルで上がっていくしろ君。いや、アツヤ。
そのまま勢いに任せて、無理矢理突破していく。乱暴で、荒くて、焦りが滲み出てるプレイ。
「アツヤ…」
吹「(みんなが求めるのはこのオレ!アツヤのフォワードとしての力なんだ!だからオレが、シュートを決める!)
それがオレがここにいる意味!『エターナルブリザード』!」
デ「予想通り、楽しめそうだな!『ドリルスマッシャー』!」
2つの必殺技のせめぎあい。勝ったのはデザームの『ドリルスマッシャー』だった。
吹「もう一度だ!俺にボールを回せ!」
「『荒波』!」
吹「オレに回せ!」
「…わかった!」
奪ったボールをアツヤに回すと、アツヤはもう一度『エターナルブリザード』を放った。
けど、またもや『ドリルスマッシャー』で止められた。
吹「(シュートを決めてこそ、オレはここにいる価値がある!)
『エターナルブリザード』!」
デ「『ワームホール』」
今度は『ワームホール』に止められてしまった。…『エターナルブリザード』の威力が、段々下がってる…?
みんな動揺している。あの『エターナルブリザード』が、以前破った筈の『ワームホール』に止められてしまったのだから。
吹「オレは、完璧にならなきゃならないんだ!」
デ「…」
焦ってるアツヤがそう吼えながら放ったシュートは、
パリン
片手で止められた。
「片手で止めるなんて…」
吹「そんな…バカな…」
デ「楽しみにしていたがこの程度とはな」
デザームがボールを外へ投げる。
デ「お前はもう必要ない」
デザームは絶対に言ってはいけない言葉を、
冷たく、吐き捨てるように言い放った。
吹「必要ない………」
「あ………、っ」
必要ない。そんなことを、今のしろ君に言ったら…っ!
吹「士郎としても必要ない…アツヤとしても必要ない…
じゃあ、僕は、オレは、オレは、僕は………」
「しろ、く、アツ、ヤ……」
吹「なんなんだーッ!」
「―――ッ!」
その悲痛な叫びに思わず耳を塞ぎかけたけど、ドサリという音にその手を止める。
その音がした方を見れば、虚ろな瞳をして座り込んだしろ君と、名前を呼びながら駆け寄るみんながいた。
円「吹雪!吹雪!」
秋「監督!これ以上無理をさせたら吹雪君は!」
瞳「…!、選手交代!目金君。吹雪君と代わりなさい」
目「は、はい!」
みんなの声が聞こえるけど、何一つ頭に入ってこない。
――あたしが居場所になるから!
居場所になる、なんてさ、
なんて無責任な言葉だったんだろう。
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