荒波少女
□第24話 うなれ!正義の鉄拳!!
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立「円堂さん!」
「守兄ぃ!」
驚いた表情で手を見ている守兄ぃにみんなが走り寄って来る。
立「ギューンですよね円堂さん!ダン、ギューン、ドカン!今のは絶対『正義の鉄拳』ですよ!」
一「円堂、そうなのか?」
円「確かにギューンって感じだったけど、俺無我夢中で…どうやって出したか全然覚えてないんだ」
「そういえば、咄嗟に出したって感じだったよね…」
考えてたら、条兄ぃが今の動きはサーファーが波に飲まれそうになった時にボードから吹っ飛ばされないようにする動きだと言った。
確かに、それ教えてもらった記憶がある。それが究極奥義『正義の鉄拳』の鍵になるかも…。
そう思ってたら、守兄ぃが条兄ぃにその動きをマスターしたいとせがんでいた。
綱「やめとけやめとけ。マスターって、素人がやって簡単にできる動きじゃねえんだぜ」
塔「そんなに難しいのか?」
「まあ、あたしは偶然1回だけ上手くいっただけだったし…」
円「俺覚えたいんだ、どうしても!覚えて、完成させたいんだ!」
綱「そりゃ気持ちはわかるけどよ…。気持ちだけじゃできねえこともあんだからさ」
円「でも綱海、お前にはできたよな」
綱「俺には?」
確かにそうだ。条兄ぃは今までサッカーをやったことなかったのに、どんどん上達してる。
必殺技もできたし、その成長っぷりは凄い。その技は、どうしても点を取るんだという気持ちからできたんだ。
そして守兄ぃの熱意に負けた条兄ぃは、サーフィンを教えてくれることになった。
早速練習だ!とその前に、大海原の監督さんの提案で、バーベキューをすることになった。
試合の疲れもあるし、腹ごしらえだ。
喜「はいっ、あーん」
吹「いや、その……」
大海原のキャンちゃんが串を差し出すけど、しろ君は引き気味だった。いつもだったら、さらっと流すのに。
「あー、美味しい」
木「ふーん」
「あっちょ、タバスコかけないで!春ちゃーん!」
春「こらー!木暮くーん!」
木「ウッシッシ!」
夕弥と春ちゃんの追いかけっこが始まる。このやり取りも定番になったなあ。
ふとあたりを見回すと、鬼道と音村が話していた。壁山いるし、早く食べないとなくなっちゃうのに。
紙皿に乗るだけ乗せて、2人のところへ。
「鬼道ー!音村ー!」
音「おや、円堂さん」
「持ってきた!はい、鬼道。あーん」
鬼「は……むぐっ」
さっき見たみたいに差し出すと、鬼道はぽかんと口を開けた。すかさす突っ込む。
もぐもぐと口を動かして飲み込むと、キラリとゴーグルのレンズを光らせる。
鬼「……お前とは一度よく話すべきだと思っていた」
「ごめん怒らないで」
音「ふふっ……面白いな、君たちは」
「面白い?」
音「ああ。独特なリズムを持っている。特に、円堂さんは」
「リズムかあ」
2人は何を話してたんだろ。2人共頭よさそうだし、あたしには理解できないことかなあ。
食休みをして、大海原のグラウンドを借りて練習することになった。
柔軟をしていると、立向居に浜辺の方には行かないのかと聞いた。そういや守兄ぃと一緒のこと多かったな。
でも、キーパーの特訓はいいんらしい。元々ミッドフィルダーで、雷門の正ゴールキーパーは守兄ぃだから。
立「だから今は、ミッドフィルダーとしてチームを支えます!」
土「……そうか。よし、じゃあ付き合え!俺と組んで練習しようや」
立「あ、ありがとうございます!」
「あたしもあたしも!一緒に頑張ろうね!」
土「おっ、美波ちゃんも来たか。よっし、やるぞ!」
立「はいっ」
「おー!」
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